どのようなことを意識して授業をしているかについて簡単に書いておきます。
目次
文法(品詞・文型)を重視
レイズでは品詞・文型の理解を重視しています。
英文を読む際、「品詞や文型の理解なんていらない」と言う講師もいます。
確かに、日本人が日本語を読むときにいちいち文法を意識しないのと同様、英語もわざわざ品詞・文型など意識する必要はないという主張は分かります。
しかし、「品詞・文型は覚えなくていい」と言っている人は
例外なく
①英語漬けの生活を長期間送った経験が過去にある
②通常では考えられないほど高い言語能力を持っている
のいずれかです。
②は特殊なので(海外生活をしていないのに何か国語も流ちょうに操れる人がいますが、普通の人にはまねできません)考えなくていいとして、品詞の勉強はいらないと主張している人のほとんどは①に該当すると思います。
つまり、英語に相当な時間を費やしたことで、知らず知らずのうちに無意識レベルで文法が身についているから、感覚に頼ってできてしまうというわけです。
私も受験生のころは、「品詞とか文型って面倒だし、どうもピンとこない。単語と熟語を覚えて、英文解釈の本を読めば何とかなるから、理解する必要はない」と思っていました。
しかし、塾講師になって初めて品詞や文型の勉強をしてみて、「今まで自分は訳せてるつもりだっただけで、実はかなり勝手な解釈をしていたんだ」と痛感しました。
品詞や文型を理解することで、これまでバラバラだった知識が線でつながるように、英文を正確に読めるようになることは間違いありません。
単語や熟語の意味を知っているだけでは、どうしても表面的な理解にとどまってしまいます。
英文を深く理解するためには、その土台となる文の構造、つまり品詞がどう働いて、どんな文型になっているのかを知ることが大切だと思ってください。
問題を解くときに品詞・文型の理解がどのように役立つのか
品詞・文型の理解ができていれば問題が解けるということを実際の問題を通じて確認していきます。
まずは西南学院大学の2023年2月6日(1日目)A日程の大問1に
The first ( d ) of a snow globe describes an example which featured a man with an umbrella.
1 being mentioned 2 mention 3 mentioned 4 mentioning
という穴埋め問題がありました。
たったこれだけのことなので、文の構造が把握できていれば確信をもって「2」を選べるわけですが
英検2級に合格しているにもかかわらず「The first mention of」という耳慣れない表現に自信を持てず「『mentioned』『mentioning』もありそうだな」と悩んでしまう子は少なからずいると思います。
また
大問3には
It was so kind of you to invite me to your party and show me your remarkably art collection.
下線部に間違いが1つありそれを訂正する問題がありました。
名詞「art collection」の前に、副詞「remarkably」があるわけがないので、形容詞の「remarkable」に訂正するだけの問題です。
これらの問題は、今現在(2023年11月)うちの塾に通っている中学2年生なら解けると思います。
なぜなら、品詞・文型の理解ができているからです。
当然彼らは「remarkably」という単語を知るわけがないのですが、
このような手順で正解を推測していくわけです。
これらは中学生でも解けるような簡単な問題ですが、合格点を取れない受験生は「『remarkably』って何か違和感あるからとりあえず『remarkable』にしておこう」と、勘に頼って偶然正解することはあっても、確信をもって正解だと判断できないと思います。
西南はこのように品詞・文型の理解があれば簡単に解ける問題が5題くらいは出されます(福大でも当然役立つ)。
品詞をしっかりと学習している受験生にとって、これらの問題は模範解答を確認するまでもなく正解を確信できる、まさに得点源となります。
この事実だけでも、「品詞」と「文型」の理解がいかに重要であるかが分かると思うのですが
さらに、「品詞」と「文型」を深く理解することで、他の文法事項の理解も深まり、英文解釈においてもその効果を発揮します。
レイズの塾生にできるだけ早い段階でこれらの理解を徹底させるのはこういう理由からです。
※ ちなみにremarkablyは2016年にも下線部が引かれて出題されています。同じ単語が問題になることはそこまで多くないのですが、間違い訂正問題は単語は違うにしても、過去出された問題と同じことしか問われません。なので、文法(品詞・文型)を意識して勉強をしていたらおそらく全問正解を狙えるようになります。。
構文に気づけるようにする
英文解釈の参考書においては、冒頭にその英文内で用いらる文法・構文が明示されているため、読解に際して意識すべき点が明確となり、比較的容易に訳すことができます。
しかし、初めて目にする英文においては、既に知っているの構文であっても意外と気づけないことも多く、訳の手順や方法に迷うことが少なくありません。
15年くらい前の九産の長文正誤問題の選択肢に
- The National Animal Identification System should help the Department of Agriculture follow the movements of cows, chickens and pigs.
- Some farmers and industry representatives do not want the information to be made public.
- Equipment that farmers will need to record and store information will cost the Department of Agriculture at least eighty million dollars a year.
こういうものがありました。
「さすがにこんな簡単な英文を訳せないわけがない」と思うかもしれませんが
実際は、英文に含まれているこれらの構文に注目できない受験生がかなり多くいます。
塾の授業において、生徒の学習状況から”訳せるかどうか微妙だ”と思える英文が出てきたら「和訳を書いて」と指示を出します。
生徒が考えた和訳を聞くことで、単に単語の意味をつなぎ合わせただけで英文の構造を理解できていないかどうかを見極めることができるからです。
もし単語同士を恣意的に結びつけて不適切な解釈をしている生徒がいれば、「そこには〇〇という構文があるので、このように訳す方がより適切だ」と指摘します。
これにより生徒は英文をより深く理解するための重要な視点を得られます。
しかしながら、指摘された構文に対して「そんなことは分かっている」といった表情を見せる生徒が少なくありません。
ここで重要なのは、知識として構文を知っていることと、実際の英文読解においてその知識を適切に活用できることの間には、大きな隔たりがあるということです。
正しい和訳を記述できなかったということは、その構文が単なる知識に留まっており、実際の読解に活かせていないことを示しています。
したがって、そのような状況で「分かっている」と考えること自体が、認識の誤りと言わざるを得ません。
実際の英文を用いたこのようなやり取りを繰り返すことによって、生徒は知識を持つことの重要性はもとより、その知識を様々な状況に応じて適切に引き出し、活用することの必要性を肌で感じていきます。
この一見すると当たり前とも言える認識こそが、表面的ではない、本質的な英文読解力を飛躍的に向上させるための、紛れもない鍵となわけです。
なお、あえて書かせるのは、頭の中で理解できているつもりでも、実際に書き出すとなると手が止まってしまう生徒が多いからです。
例えば、「help+目的語+動詞の原形」という構文を知識として持っていても、実際の英文の中で気づけなければ、正しく和訳することはできません。
手が止まったり、思うように書けないのは、指摘されれば分かるのに、気づけていない証拠になるわけです。
レイズの生徒の中に、偏差値30台から福岡大学に合格した子が複数人いることが、この槍田に効果があることの裏付けになるはずです。
彼らは、基本的な知識の習得と、それを実践的な読解に応用する訓練を徹底的に行ったからこそ、逆転合格を成し遂げられたのです。
一方、模試でA~C判定が出ているにもかかわらず不合格になる受験生がいるのは、合格するために具体的に何をすべきかを深く考えず、闇雲に勉強を続けているからです。
表面的な知識だけでなく、それを活用する力を養うことこそが、志望校合格への近道だと思ってください。
できるという思い込みが、理解の妨げになっていることを知っておきましょう。
文の構造を把握をする
「高校で英語ができなくなる理由」にも書いていますが、高校英語が難しく感じるのは
に原因があります。
簡単な英文であれば構文に簡単に気づけるとしても、複雑な英文においては、簡単には気づけないことがあります。
そんなときは基本に返って文の構造を把握することが重要になります。
The huge success of the television shopping industry and its 30-minute ads* on television coupled with a weak economy at the time caused advertisers – the companies selling goods and services – to give their creative ad agencies requests to start designing 60 to 90 second commercials complete with a buy-now message and a telephone number that viewers can call for free. * 30-minute ads:30分のテレビショッピング番組
これは2013年度2月6日に西南学院で実施された神学部・経済学部の大問1の2段落目の英文です。
そこまで複雑な文ではないから
- 文頭に「The」があるので、主語は「the huge success」
- 等位接続詞の「and」があるので「and」の直後にある「its 30-minute ads」も主語になる
- 「coupled」の後に「caused」が続くので、動詞が重なるわけがないので「coupled」が過去分詞だと判断する
- 「caused」の後に「 advertisers to give their creative ad agencies request」が続いているので「cause 目的 to do」が見えてくる
- あとはto start以降を文脈に応じて訳す
こうやって文の構造を把握できたら簡単に訳すことができますね。
どうですか?
私が英文を読んだときに頭で考えたことをざっと文字にしたものなのですが
分かりますか?
おそらく、これを読んでも何を言っているのかまったく分からない受験生がほとんどだと思います。
しかし、最終的にこのような作業を受験生が自分の力でやらなければなりません。
それができるようになるために塾の授業で私が頭の中でどのように英文を見ているのかを一緒に考えていくわけです。
文字で表したら何を言っているのかよくわからないかもしれませんが一応授業でどのようなことをやっているか書いておきます。
まずはじめに、和訳でつまづいている生徒がいたら、「主節の主語と動詞を教えて」と尋ねます。
このとき、自信をもって答えられない場合「requestsまでの前置詞の塊(前置詞句)とハイフン部分をカッコでくくってみて」といった指示を追加で出します。
The huge success (of the television shopping industry) and its 30-minute ads* (on television) coupled (with a weak economy) (at the time) caused advertisers (– the companies selling goods and services –) to give their creative ad agencies requests ~
すると「The huge success and its 30-minute ads coupled caused advertisers to give their creative ad agencies requests ~.」このような文になるので
動詞が2つ重なることなんてないからどちらかが過去分詞のはずだよね?
「cause」って頻繁に見る単語だと思うけど、ハイフンを無視して英文を続けて読むと、「cause+目的語+to do」が見えてくるけど、これに気づけていた?
これに気づければ
ここでの「coupled」が直前の名詞だけでなく「The huge」から「on television」まですべてを修飾しているから構造が見えにくいと思うけど
「caused」が動詞で「coupled」が過去分詞だということなんとなくわかるよね?
無駄な部分をとりあえず省いたら
「The huge success and its 30-minute ads caused advertisers to give their creative ad agencies requests ~.」
となるので
- 主語:The huge ~ ads
- 動詞:cause
- 目的語:advertisers
これらが、はっきりと見えてくるので「S+cause+目的語+to do(主語が原因で目的語が~する)」から全体の訳を考えると
「その大成功と30分間の広告が、広告主たちがクリエイティブな広告代理店に様々な要望を出すきっかけとなった。」となるので
ここまでできれば、後は省略していた前置詞句やハイフンを加えて
「テレビショッピング業界の目覚ましい成功と30分の広告が、当時の不況と相まったことにより、広告主(商品やサービスを販売する企業)が、クリエイティブな広告代理店に対し、今すぐ購入を促すメッセージと無料通話の電話番号を盛り込んだ60秒から90秒のCM制作を依頼するようになった。」
というような訳ができるようになるわけです。
信じられないかもしれませんが、進研模試で偏差値50未満だった子でも1年塾で学べばほとんどの子がこのくらいの訳ができるようになります。
合格するための勉強はできている?
もし今これを読んでいるあなたが英検2級に合格しているとすれば、試しに西南学院大学の過去問を解いみてください。
おそらく70点以上は取れないと思いますし、中には50点未満になる子もいるかもしれません。
英検2級は「高校卒業程度で、社会生活に必要な英語を理解し使用できる能力があることを証明するもの」とされているので
西南学院大学の問題のほとんどが標準的であることを考えれば、「高校卒業程度」の実力があれば7割を下回ることはないはずです。
しかし、実際は多くの受験生が下回ってしまうんです…。
なぜそのようなことが起こるかというと英検・共通テスト・模試の問題と西南(福大)の問題は求められる力が異なるからです。
求められるものが違うのに、それを一切考えず、なんとなく勉強をしていれば、英検2級に合格できる実力があるのに西南の問題で合格点に届かないのは当たり前です。
要は、西南・福大の英語の問題で点数を取るための勉強ができていないから思うような点数が取れないわけです。
合格に直結する勉強をすれば、そうしないときと比べ勉強時間を大幅に短縮できます。
短縮できた時間を選択科目・国語に回すことができれば、合格の可能性が高まるのは当然です。
模試ではD・E判定しか取れていないのに西南・福大に合格してしまう塾生がいるのはここにも理由があります。