福岡県の公立高校入試のリスニング

3年に1回くらいリスニングの形式が変わるので令和6年はもしかしたら形式が若干変わるかもしれません。

リスニングの配点

リスニングの得点率は以下の通りです。

20242023202220212020
1(1)65.9%91.1%92.6%86.1%
1(2)72.7%70.6%84.0%54.2%
1(3)60.9%67.7%80.0%70.8%
2(1)43.2%61.7%55.2%43.0%
2(2)51.2%37.3%33.1%17.5%
3(1)57.0%82.9%81.6%87.1%
3(2)72.3%77.5%83.7%83.8%
3(3)58.9%57.9%66.3%77.3%
4-1(1)61.8%81.1%91.5%79.6%
4-1(2)27.1%30.4%54.2%40.4%
4-1(3)43.1%21.5%23.7%47.2%
4-239.1%29.6%20.3%57.4%
全体得点率51.6%53.0%57.0%62.1%
得点換算10.32点10.60点11.40点12,42

リスニングの対策は一朝一夕にはいきません。

受験直前期になって「リスニングが苦手です」なんて言い出してもどうしようもできないので

英文読解をしっかりとやっておきましょう。

繰り返します

リスニングで重要なのは

英文読解

です

問題1

2023年入試から大問1の正答率が他の年度と比べ若干下がっているのが見て取れます。

この原因は明らかで

今まで2回読まれていた英文が1回しか読まれなくなったからです。

1回しか読まれなくなることを知らずに2回読まれると思い込んで余裕でいたら

「あれ?もう大問2に進んだけど。えっ1回しか放送されないの。答えなんだっけ?」

となった子が相当数いたはずです。

とはいっても、問題そのものは簡単です。

令和5年の(1)は

Lucy, can I sit next to you?
アMe, too.   イYou, too.   ウYes, of course.  エNo, I can’t.

「can」で尋ねられたら「can」で答える

ということだけしか覚えていなければ「エ」を選んでしまうかもしれませんが、

会話の流れを考えれば答えは「ウ」以外ないのはすぐに分かるはずです。

このくらいの英文しか問われないので問題1は特に意識しなくても満点をとれるはずです。

 

一つアドバイスがあるとすれば

リスニング音源を聞いて練習するときに

「this/ these/ does/ is」といった超基本単語のにも意識を向けることです。

 

リスニングテストになるとこれらの簡単な単語も

「えっ、聞き取れないんだけど。なんて言ったの?」

となりがちです。

例えば「Does he play soccer?」

という質問がされたときに「does」が「is」に聞こえたりするんです(そんなわけがないと思うかもしれませんが、本当に起こるんです)

普段から意識していれば

自分がどのような聞き間違えをするか把握できるようになるので本番では聞き取れるようになるはずです。

問題2

45語~60語の英文を聞き、図・表から適切なものを選ぶ問題です。

 

英文の最後に

令和5年
(1) Which room will he visit at 3:00 p.m.?
(2) How many students talk with their friends?

令和4年
(1)Which is the best course for him?
(2)What time does the event he will join start?

令和3年
(1)Which train will he use?
(2) What time does the movie he wants to see start?

このような質問がされます。

読まれた英文の内容を捉え、最後に問われている問題に答えればいいだけなので

そこまで難易度が高い問題ではありません。

 

英文が2回読まれるので1回で解こうとせず、

1回目は①本文の内容を捉え、②質問を聞き逃さない、この2点に注意し

2回目に読まれるときに答えを出すことを勧めます。

1回目で解いて次の問題に備えたほうがいいという子もいるかもしれませんが

そんなことをしても大して意味がないので

そんなことをするよりも、変なミスをして点数を落とさないよう2回目で解くことを勧めます。

問題3

2人の会話のやり取りを聞いて後の質問に答える問題が出されます。

2人の会話は大体10~30文字の間で、難しい表現はほとんど使われません。

また、選択問題なので英文を把握できれば比較的容易に正解を出せます。

 

アドバイスがあるとすれば

問題2と同様1回で答えを出そうとしないことです。

この問題は問題用紙に質問が事前に与えられていないので

会話が終わった後に英語で質問が3つされます。

つまり、1回目に英文が読まれている間は何が問われるか全く分からない分けです。

この手の問題でやるべきことは

1回目に行われた会話を頭に残す

ことです。

  1. 会話を頭に残す
  2. 質問を聞く
  3. 答えの目星をある程度つける
  4. 2回目の会話を聞いて答えを確定させる

この手順で解くことを勧めます。

問題4

問題4は140~170語の英文を聞き問1(1)~(3)・問2の問に答える形式が続いています。

 

問題3までは英文が読まれた後に初めて何が問われるかわかるので1回目は英文の内容を覚えることに集中することが大切でしたが

問題4の問1はあらかじめ英文で質問が書かれているので、事前に質問内容を頭に入れておき、1回目から正解を出すことを意識して英文を聞くようにしましょう。

 

ただし

1回目から正解を出すことを意識したとしても解答欄には答えを書くのは2回目を聞き終わった後にしてください。

 

答えを書かないと忘れてしまう

といきなり答えを書く子が多いですが

それをやってしまうと、英文に注意が行かなくなり、次の問題の答えを聞き逃してしまうかもしれません。

 

問題4の問2は

令和5年
What do you want to ask the teachers about the night activities? Write one question.

令和4年
What do you want to ask about the volunteer work of South High School? Write one question.

令和3年
What do you want to ask about a student's life in Canada? Write one question to ask the students from Canada.

このように

読まれた英文の内容に関連した質問がされます。

「What do you want to ask」で問われているので

「I want to ask ~」と書いて間違える子も一定数いると思います。

あくまでも

「Write one question」

が問われているのだから

自分がどういう質問をするのかを答えなければならない分けです。

この形式で問われたのが令和3年が初めてだったので

令和3年は正答率が20%でしたが

4年は30%、5年は40%に上がっています。

この数字の変化は塾で対策がされたからだと私は思っています。

対策

リスニングの対策できるとすれば

フクトや過去問を利用して問題形式に慣れておくことくらいしかできません。

毎日リスニングを聞いて耳を鍛えることも作戦としてはありかもしれませんが

リスニングができない原因は

  1. 単語の暗記ができていない
  2. 英文をスピーディーに読めていない
  3. 頭に会話内容を残せない

この3点です。

①単語の暗記ができていない

この場合の単語は発音も含めます。

英語を習い始めた時に「beautiful」を覚えるときに「ベアウティフル」といったように覚えた子もいると思いますが(うちの塾でも慣れるまではこの覚え方を推奨しています)

ある程度英語に慣れてからは発音を含めて単語の暗記をしておきましょう(発音記号を覚えることを勧めます)

②英文をスピーディーに読めていない

単語は確実に覚えているけどリスニングが苦手という子もいると思いますが

その場合はリスニングに問題があるというより英文を読むスピードが遅いことが原因である可能性が高いです。

令和5年の問題4のスクリプトの一部を抜粋したものを見てください。

On the second day, we will go around the lake in the next town to watch birds. There are beautiful birds that live only in East Australia. We'll come back to the school by 2:30 p.m.

入試本番の音源が手元にないので絶対とは言えませんが

おそらくこの英文は15秒~20秒で読まれるはずです。

つまり、どんなに遅くともこのスクリプトをみながら20秒以内に意味を捉える力がなければ、

単語を部分的に拾って自分に都合の良いように解釈するしかなくなるので自分では絶対に合っていると思っているのに不正解だったりするわけですね。

特に「birds that live only in East Australia」の個所のように関係代名詞が使われると、多くの中学生が単語だけを拾って勝手な解釈をしてしまっているはずです(英文が簡単なので勝手な解釈が合っていることが多いのでなんとなく正解できる子がおおい)。

 

英文を読むスピードが遅いと、何を言っているのか分からないまま英文が流れていくので、単語を拾い読みすることしかできなくなります。

リスニング対策は英語をたくさん聞くこと

と勘違いしている子が多いですが

たくさん聞いてもほとんど対策にはなりません。

 

リスニングができない原因が耳が慣れていないことと別の部分にあるのだから

たくさん聞いたところで問題が解けるようにはなりません。

やるべきことは

英文読解(文法理解・構文暗記)

です。

フクトや過去問の大問2~4の英文を、英文を読むと同時に意味を捉えられる訓練をすれば

リスニングは次第にできるようになっていきます。

③頭に会話内容を残せない

英文を読むスピードがある程度早くなってもリスニングが苦手という場合

流れてきた内容を頭の中で整理できていないことが原因だと思います。

 

令和5年、問題4の(1)(2)の設問は

(1) How long will it take from Keiko's school to Green National Park by bus?
アAbout thirty minutes. イAbout one hour.
ウAbout two hours.          エAbout two hours and thirty minutes.

(2) What can Keiko find while she is walking in the forest?
She can find some (     ) (     ).

以上のようなもので、この設問に該当する英文が

It will start on Saturday. Please come to the school by 8:30 a.m. Our bus will leave the school at 9:00 a.m. and get to the park at about 11:00 a.m. After lunch, we will walk in the forest. Some old trees have been there for more than 500 years. You can find them while you are walking.

だったのですが

(1)は8時30分、9時、11時という数字が次々に出てくることで

何時に何が起こるのかを整理する前に

英文がどんどん先に進んでいくので

「学校から公園までバスにどのくらいかかるのか」という質問に

答えられない

2回目でなんとか整理できたけど

(2)は空欄

そういう子が多かったはずです。

 

英文を頭に残していればたいして難しくはないのに

中学生にとってはそう簡単にはできないんですね。

ではどうすればいいか

  1. 事前に質問を頭に入れる
  2. 流れてくる英文の内容を覚える
  3. 該当箇所が流れてきたら特に注意して内容を覚える
  4. 1回目の解答時間に答え、必要であればメモを書く
  5. 2回目も1回目と同じように解く

この手順でときましょう。

このとき

聞き取れたことをメモする

なんてことをしてはいけません

速記術でも身に着けていない限り

メモを取ったら英文がどんどん先に進んでしまい

内容を覚えることなどできません。

「メモを取らないと忘れちゃう」

と反論してくる子が大半ですが

偏差値60前後くらいの実力の子であれば

メモを取るよりも頭の中で内容を覚えておくほうが確実に正答率が高くなります。