ノートの左端から右端までとにかく書き殴る

10回ないし20回と回数を決めてとにかく書く

そういったやり方で英単語・漢字を暗記する子は2000年代前半のときと比べ相当減ってきたと思います。

しかし、いまだに明らかに非効率な暗記の仕方をしている子が相当数いるのも事実です。

勉強で効率性を考えるのは間違っているのか?

「勉強をするときに効率性を考えるのは間違っている。時間をかけてゆっくりとやるべきだ」と主張する人もいるので

暗記の一例を示す前に、「勉強で効率性を考える」のがいいことなのかについて簡単に触れておきます。

 

確かに、効率性ばかり意識して、結局何も身についていなければ本末転倒なので、時間をかけてゆっくりと理解したほうがいい場合もあります。

かといって、10分で終わらせられることを1時間も2時間もかけてやるなんてこともバカげています。

上のような主張は、自分が経験的に効率的な勉強法を身に着けているから、全員が全員自分と同じような勉強法を身に着けているという思い込みから起こるものだと思います。

自分が相当効率的な勉強をしているのに、自分にとってはそれが当たり前で効率的な勉強法だと気づかないから、「効率的な勉強など考える必要はない」と主張してしまうわけです。

 

「そんなことやっていたら何時間あっても足りない」というやり方で勉強をしている小中高校生は多くいます。

そういう子たちに効率的な勉強法を示すことは何も間違っていないません。

詳しくは「効率性を考えて勉強をする」を参考にしてください。

中学以降の覚え方

漢字を覚えるために「ひたすら書き続ける」、というやり方をしている子がいます。

あまりお勧めできるやり方ではありません。

そんなことをしていたら10個くらいを覚えるのに10分も20分もかかってしまいます。

 

1つの漢字(熟語)を覚えるのにやることは

パッと見て瞬間で覚える!!

覚えたと思ったら何も見ないで書いてみる。

これだけです。

時間でみると5~10秒くらいです(書く時間がなければ1秒で覚えられることも多い)。

 

「そんなの無理だろ」

と思うかもしれませんが

少なくともうちの塾に通っている子は全員が5~10秒で漢字を書けるようになります。

「50個の漢字を1時間で覚えなさい」

というと

「そんなの無理」

という子がほとんどですが

目で見て覚えるやり方をすれば

最初に覚えるのに10分、一回りしたらどれくらい覚えているのかを確認するのに10分、間違えていたものは再度覚え直しで10分。

このようにすれば

ほとんどの子が50個の漢字を30分くらいで覚えられます(20分くらいで終わる子も多い)。

 

なぜ、このようなことが可能かというと

日本の学校で日本語をベースに勉強をしているのなら小学校のうちに相当の量の日本語に触れるからです。

漢字は「へん」「つくり」「かんむり」などの部首(記号)や知っている漢字の組み合わせで作られているので、小学校6年間で大量の漢字を見て慣れてしまえば、中学以降に出てくる新しい漢字(熟語)も、既に知っている記号の組み合わせでしかなく、1秒みただけで記憶できることが多いんです。

 

たとえば

  • 「遠慮」の「慮」
  • 「敢行」の「敢」
  • 「丁寧」の「寧」

といった漢字も、なんとなく見たことのある漢字を重ねているだけなので

たとえ、トラガシラ(実際の部首は下心)を使った漢字を見たことがない小学4年生でもパッと目で見て覚えられるはずです。

これが、「憂鬱」の「鬱」だったとしても

「木」「缶」「『凶に点がついたもの」「ヒ」「さんづくり」を合わせただけなので、5秒くらいで覚えられるんじゃないでしょうか?

試しに覚えてください。

漢字は部首で作られているから暗記をするのは簡単

数年前オジンオズボーンさんの、難漢字の覚え方が流行ったことがありますよね。

漢字は「部首や既に知っている漢字(記号)」を合わせて作るものだということを意識すれば、認知的に弱い部分がない限り、中学生くらいの子が一つの漢字を1~5秒くらいで必ず覚えられます。

 

ただし、パッと見て覚えるやり方だと、翌日には半分くらいおぼえていないなんてことも起こるので、定期的に見直しが必要です。

「繰り返さなければならないなら書いて覚得たほうがいいじゃないか」

と思うかもしれませんが

書いて覚えたとしてもパッと見て覚えた時と同様忘れるので、定期的な見直しは必要です。

いずれのやり方でも繰り返す必要があるなら、何倍も速く漢字を書けるようになる「パッと見て覚える」やり方のほうが効率的です。

小学生までの覚え方

上では効率性を考えて、見て覚えたほうがいいいと書きましたが

小学生のときは、ある程度書いて覚えることも重要です。

小学生はまだまだ漢字を見慣れていないので、小学校で出される宿題は面倒くさがらずにやっておいたほうがいいいと思います。

漢字を覚えるとは?

「漢字を覚える」=「漢字を書けるようになる」と思っている子が大半のようですが

極端なことを言うと「書けるようになる」ことはたいして重要ではありません(簡単に書けるようになるから)。

重要なのは「その漢字がどういう意味なのか」を覚えることです。

なので、漢字の暗記をするときは「書く」ではなく「意味を覚える」ことに時間を使うようにしてください。

 

大人にとっては信じられないかもしれませんが

「敢行」の意味はもちろん「遠慮」の意味すら知らない子が多くいるのが現状です。

書けるのは当然なので、とにかく漢字(熟語)の意味を覚えることに時間を使うようにしてください。

たとえば

「敢行」は「無理・障害を承知の上で、あえてすること」、「敢」という漢字には「あえてする」という意味がある

こういうことを覚えてください。

このときは「書いていたら時間がかかるから頭で覚える」という考え方をする必要はありません。

多少、面倒でも次のようなノートを作成したほうがいいかもしれません。

意味調べノートの具体例

「『漢字など1秒で覚えろ』と最初に書いておきながら、それとは矛盾することを書いていて結局どうすればいいの?」

と思われてしまうかもしれないので補足しておきます。

 

確かに、「目で見て漢字を覚えるやり方」は「定期テスト対策」としてはかなり有効です。

しかし、常にそのやり方を推奨しているわけではありません。

塾講師として目先の結果にもこだわらなければならないときもあるので、「漢字は1秒で書けるようになる」と効率性を重視した暗記法も伝えていますが

漢字の勉強は目先の点数のためでなく、『一生を通じて役立つもの』として、ある程度時間を使って覚えるべきだと思います。

 

少し話がズレてしまいますが

言葉を知ることは自分の世界を広げることに確実に役立ちます(世界は言葉でできているので当然なんです)。

世界が広がれば、必然的に興味関心の幅が広がります。

自分の意志で進んで学ぶようにもなるので、当然、頭もよくなります(ただし「学び=学校の勉強」「頭がいい=定期テストでいい点を取れる」とは限りません)。

なので、小学生のうちに英語を必死になって学ぶよりも、日本語(国語)の勉強に時間をかけることを勧めます。

暗記は目で見て覚える