計算をしっかりとできるようになることを重視します。
目次
四則・分数・小数計算を正確に
算数では、基本的な計算(四則・分数・小数計算)を正確に解く力が土台となります。
これが不十分だと、計算ミスが頻発するだけでなく、中学校1年生の1学期から数学に対する苦手意識を持ってしまう可能性があります。
実際、数学は中学校1年生の1学期から、得意な生徒と苦手な生徒の差が顕著に表れやすく、学年が進むにつれてその差は拡大していきます。
算数・数学は積み重ねの科目であるため、中学校1年生でつまずいてしまうと、2年生、3年生でも苦手なままになりやすいです。
計算ミスをする主な原因は、基本的な計算能力の不足にあります。
土台となる計算力が曖昧なままでは、どれだけ応用問題を解いても、根本的な解決にはなりません。
小学生のうちに基本的な計算を徹底して身につける重要性はここにあります。
スピードも大切
計算問題を正確に解けることは当然ですが、スピードも同様に重要です。
中学生になると実力テス(フクト)を受ける機会がありますが、1・2年生のフクトでは計算問題が多く、時間内に解き終わらない生徒も見られます。
フクトの計算問題は難しいものは出されないので、正確に計算ができるなら30~40分程度で終わる内容になっているのですが、必要以上に時間がかかってしまう子が相当数いるのが現実です。
つまり、結果を出すためには、正確性だけでなく、一定以上のスピードで計算できることも求められるわけです。
次の2人の会話をご覧ください。
A君「今日どれくらい勉強した?」
B君「1時間くらいかな」
A君「へー、すごいね」
B君「まあ、普通だよ」
A君「で、何をやったの?」
B君「学校で配られた数学の計算プリントを2枚だよ」
A君「そうなんだ、他には?」
B君「だから、計算プリント2枚」
A君「そっ、そうなんだ(僕は10分で終わったけどな…)」
B君「でもさ、ちゃんとやったのにミスが多くて×ばっかりだったんだよね…」
A君が10分で終わらせた内容に、B君は1時間も費やしているわけです。
「勉強は量より質」と言われるのは、まさにこのことです。
「計算スピードが遅くても、文章題、グラフ、図形問題ができれば問題ないのでは?」と思うかもしれません。
しかし、少なくとも中学数学においては、計算スピードが遅い生徒は、文章題、グラフ、図形問題も苦手な場合が多いです。
これは、どこかに理解が不十分な部分があるためと考えられるためです。
もう少し詳しく説明すると
①理解不足と計算スピード
計算の基礎的な概念や手順が十分に理解できていないと、一つ一つのステップに時間がかかり、計算スピードが遅くなります。
例えば、分数の計算が苦手な場合、通分や約分に時間がかかり、全体の計算スピードが遅くなってしまいます。
②計算スピードと計算ミス
計算スピードが遅いと、焦りや集中力の低下につながり、計算ミスが増える可能性があります。
また、理解が不十分なまま計算を進めると、途中で間違った手順を踏んでしまい、計算ミスにつながることもあります。
➂立式から正解へ
立式ができても、計算ミスが多いと、正解にたどり着くことができません。
特に、複雑な計算問題では、一つのミスが最終的な答えに大きく影響するため、正確な計算力が重要になります。
このように、計算速度が遅い生徒は、理解が不十分な部分があり、計算ミスが多い傾向があります。そのため、立式できても正解にたどり着けないことがあります。
文章題、グラフ、図形問題を解くときも「あれ?なんで答えが出ないんだろう。式が間違っているのかな?」と、答えを見つけられず途方に暮れてしまうのです。
このような事態を避けるためにも、やはり、小学生のうちにしっかりと計算力を身につけることが大切になります。
正確性とスピードを上げるために
算数の計算が苦手な子に対して、改善策として塾が行うのは
①基礎概念の徹底指導
計算の基礎となる概念や手順を、図や具体例を用いて丁寧に解説します。
必要に応じて、過去の学習内容を復習し、理解が不十分な箇所を重点的に指導します。
②反復練習による定着
豊富な問題演習を通して、計算スピードと正確性を高めます。
様々な種類の問題に取り組むことで、応用力を養います。
➂丁寧な計算の習慣化
計算ミスを防ぐために、途中式をしっかりと書くことを指導します。
一つ一つのステップを丁寧に確認しながら計算を進めることで、正確性を高めます。
④個別指導によるサポート
学校の授業についていけないほど算数を苦手にしているときに限りますが、一人ひとりの理解度や進捗に合わせて、個別指導を行います。
苦手な分野を集中的に指導し、着実なステップアップをサポートします。
学校の授業についていけていない場合
レイズでは、学校の授業についていけていない小学生に対し、計算問題を宿題として多く出題し、解いてもらうようにしています。
その際、親御さんには、できる限り子供と一緒に計算問題に取り組んでいただきたいと考えています。
小学校の授業で習う計算問題に苦戦する子の多くは、単に計算の手順が分からないだけでなく、
たとえば「5×4.1=2.5」というような間違いを頻繁に起こします。
「5×4」を解いてもらうと「20」という答えが出せるにもかかわらず、
「4」よりも数が大きい「4.1」を掛けると「2.5」になってしまうわけです。
このような間違いをしてしまうのは
- 小数点の概念の理解不足
- 計算手順の誤り
- 概算能力の欠如
といった原因が考えられます。
特に、計算結果の大まかな見当をつける概算能力が不足していると、「5×4=20」という知識があっても、4.1が4より少し大きい数であることから、答えが20より少し大きくなるはずだという感覚が働かないため、2.5という誤った答えを受け入れてしまうことがあります。
また、
「100×4.23=42.3」
「60÷2=30」
といった計算問題解くのに、20秒ほど時間を要してしまう子もいます。
このようなことが起こる原因には
- 九九や繰り上がり、繰り下がりなどの基本的な計算がスムーズにできていない
- 小数点の計算に慣れていない
- 計算中に注意が散漫になり、計算に時間がかかっている
- 暗算でできる計算を筆算で行うなど、効率の悪い計算方法を用いている
こういったことが考えられます。
このような状況では、塾の授業だけでは、計算力を向上させるための十分な学習時間を確保できないので、通常の宿題以外にも課題を出させてもらうことになると思います。
小学校で習う計算が苦手なまま中学校に進学すると、中学1年の1学期から早々に数学ができない状況に陥り、卒業するまでその状況がズルズルと続く可能性が高くなるので、できる限りのことを小学生のうちにやっておきましょう。
なお、この改善策として
- 九九や繰り上がり、繰り下がりなどの基本的な計算を徹底的に練習する
- 小数点の計算に慣れるために、小数点の計算問題を繰り返し解く
- 計算ドリルや計算アプリなどを活用する
- 計算の工夫(100をかける場合は、小数点を右に二つ移動させる。割る場合は、半分にするなど)
- 計算問題を毎日継続して解くことで、計算速度と正確性を向上させる
といったことが効果的です。
塾では「2桁×1桁」「2桁÷1桁」例えば「13×6」「56÷7」といった単純計算を暗算で解いてもらうといったことをしています。
割り算の問題を出すときは①割り切れる②九九の表に書かれてある計算に限定するほうがいいです。
考える癖をつける
難関私立中学を受験する場合、公式や解法の暗記は必要かもしれません。しかし、公立中学に進学する小学生には、必ずしも必要ではありません。
むしろ、公式の暗記はデメリットになる可能性すらあります。
なぜなら、公式を暗記すると、
- パターンを覚えて、意味も理解せずに公式を当てはめるだけで答えを出せる
- 考える習慣が身につかない
からです。
小学生のうちに考える習慣を身につけておかないと、中学以降に受けるテストで苦労するかもしれません。
例えば、
- 問題をよく読まずに、的外れな解答をしてしまう
- 高校入試で求められる、問題文を丁寧に読んで考える力不足
といったことが起こりえます。
高校入試は、大学入試改革の影響を受け、出題形式が少しずつ変わってきています。
これまでの小学校のテストとは違い、ちょっと暗記しただけで高得点が取れるような簡単なものではありません。
2020年代の高校入試・大学共通テストは、
- 問題を丁寧に読み解く力
- じっくりと考える力
が、これまで以上に求められます。
つまり、小学生のうちに「しっかり読んで考える」習慣を身につけておくことが、将来の高校・大学入試で成功するための重要なカギとなるのです。