西南・福大の総合型選抜で受験を考えている人に向けて書いています。

福岡大学

福岡大学の令和6年の総合型選抜入試の結果は次のようになっていました。カッコ内は令和5年度。

学部学科募集人員志願者合格者競争率
法学部法律15(10)52(39)22(20)2.4(2.0)
経営法7(5)26(19)12(8)2.2(2.4)
経済学部経済1097(67)25(21)3.9(3.2)
産業経済533(33)12(10)2.8(3.3)
商学部569(45)20(20)3.5(2.3)
経営531(16)19(16)2.1(2.8)
会計プロ322(16)12(12)1.8(1.3)
貿易317(15)11(12)2.4(1.4)
商二部515(20)16(17)1.7(1.5)
会計プロ27(9)4(6)1.8(1.5)
学部学科募集人員志願者合格者競争率
工学部機械24(5)2(3)2.0(1.7)
電気37(3)4(3)1.8(1.0)
電子情報23(5)2(2)1.5(2.5)
化学シス34(1)4(1)1.0(1.0)
社会デザ211(5)6(5)1.8(1.0)
建築28(16)4(3)2.0(5.3)
スポーツスポーツ32104(123)31(32)3.4(3.8)
健康519(13)5(5)6.3(6.5)
合計1115292112.7

(参照:福岡大学HP)

令和7年の結果が出たので改めて確認しましたが、似たような倍率でした。たとえ定員を満たしていなくても、一定のレベルを超えていなければ合格はできないはずなので、一般で合格できないから楽して総合で合格を目指そうとする甘い考えは通用しないと思われます。

 

第二志望合格者がいるので、競争倍率にズレが生じています。顕著なのが健康運動科学科でスポーツ学科からの合格者を除いたら合格者は3名になり、票の数字を計算すれば倍率は3.8倍になるのに6.3倍となっています。

西南学院大学

西南学院大学の令和6年の総合型選抜入試の結果は次のようになっていました。

学科入試種別募集人員志願者数合格者数倍率
神学1212.0倍
外国語学びと探求1021111.9倍
外国語活動実績2028191.5倍
7971.3倍
経営721102.1倍
経済学びと探求62063.3倍
経済活動実績61142.8倍
国際経済学びと探求4641.5倍
国際経済活動実績4422.0倍
学科入試種別募集人員志願者数合格者数競争率
法律1218141.3倍
国際関係法6541.3倍
児童教育51371.9倍
社会福祉活動実績31535.0倍
社会福祉社会人対象200
心理1532152.1倍
国際文化学びと探求41853.6倍
国際文化多言語能力4632.0倍
合計1162291152.0倍

(参照:西南学院大学HP)

2024年入試から入試種別ごとの倍率を出すようになったので、それ以前の結果と比較するのは難しいのですが、過去の結果を見ても総合型入試は募集人員を大きく上回る合格者を出さない傾向があることは間違いありません(例外は2022年度の経済学科が12名の枠なのに22名の合格者が出ているくらいだと思います)。

2025年度(令和7年)の合格者数が出たので確認しましたが、外国語学部を除きどれだけ志願者が多くいようが定員を大幅に超える合格者は基本出していないみたいです。定員を満たさない合格者数しか出していない学科もあるので、安易に総合型を選ぶのは危険だと思います。

 

西南は動画を公表しているので、受験を本気で考えている人はしっかりと確認しておくことを勧めます。

 

出願情報

総合型入試は出願資格や試験内容が前年度と大きく異なることがあるかもしれません

受験を考えている人は受験年度の募集要項が出されたらすぐに

  1. 出願資格
  2. 選考方法
  3. 入試実施日
  4. 出願書類
  5. 出願方法

の5点は必ず確認しておきましょう。

出願資格

高校3年の2学期まで(二学期制の高校は3年前期)の内申点が出願資格になっている場合が多いです。

なので、総合型で受験をすると決めているなら高校入学後から定期テストの勉強をしっかりとしておく必要があります。

とはいっても1年次に総合型入試に的を絞って勉強をする高校生はほとんどいないですよね。

選考方法

  1. 書類選考
  2. 小論文
  3. 面接
  4. プレゼンテーション
  5. グループディスカッション
  6. グループワーク

といったものが実施されます。

これらは1ヶ月やそこらで準備できるものではありません。

願書締め切り直前1か月くらいになってから慌てて受験しようとしても、一般選抜で受験する時間を大幅に無駄にすることになる可能性があるので、安易に受験しようとしている人は注意が必要です。

楽に合格できるわけではない

  1. 志望者数や倍率を見ると一般入試よりも合格しやすく見えてしまう学科がある
  2. 科目試験がない

このことから

一般入試では100%合格できない

という人が少しの可能性にかけて受験を考えることが結構あると思います。

そこはもう

「受けたかったら受けてもいいよ」

としかいえません。

 

ですが

一般で受験するつもりだけど一般で合格できるかどうか不安だから

「チャンスが増えるならとりあえず受けるだけでも損はない」

という理由で受験しようと思っているなら一度立ち止まって考えてみてください。

総合型試験は一般入試(福大のA方式含む)とは選考方法が全く異なるので、相当の準備が必要になります。

その準備をしつつ一般入試のための勉強を本当にできると思いますか?

 

「総合型なんて、1・2ヶ月で合格できるって書いてサイトもあるよ

と反論したくなる受験生もいると思いますが、そう思うならすぐに募集要項を見ましょう。

募集要項を見れば「こんなことやるなら一般入試の方が楽なんじゃないか」と感じるはずです。

 

対策を取り組み始めたばかりのときは一般科目と違うことができて新鮮で面白いと思うかもしれませんが、それも長くは続かないはずです。

本気でやろうと思えば思うほど、その負担の重さを実感し始めることになるでしょう。

気付いたときは既に1・2ヶ月時間がたっていて、一般入試のための勉強が全く進んでいない・・・

総合も無理、一般も無理

となるのが落ちです。

 

そもそも

「よくわからないけどちょっと試しに受けてみようかな」

くらいで合格できるような試験ならみんなが受験しているはずです。

受験者数が少ないことを考えても(もちろん内申点が足りないせいで受験をしたくてもできなかった生徒も多くいるとは思いますが、それを考慮しても受験者数が少ない)

総合で合格するのは難しいということが推測できるはずです。

もし、今まで全く準備をしていなかったのに直前になって受験を決めたとするなら、総合選抜対策を専門にした塾を利用すべきです。「二兎追うものは一兎も得ず」になる可能性が高いとは思いますが、可能性はゼロとは言えません)。

受験準備は高校2年から

総合型入試は願書締め切り1・2か月前になって「総合型ならどうにかなるかもしれない」なんて思っても合格はできないということを理解してください。

 

 

総合型で合格するには「自分が学びたいもの」が初めになければなりません。

にもかかわらず、不合格になっている子のほぼ全員がその順序が逆になっていて

となっているんです。

 

「学びたい」と思っているものがなくただ何となく高校生活を送ってきた人が、受験直前になって大学が求める学生像に無理やりマッチさせて強引に受験をしたところで

「あ~この子は付け焼刃だな、学びに対する熱意・意欲をまったく感じられない

と、試験官に見透かされます。

もちろん、試験管にそう思われる受験生を大学側が合格させるわけがありません。

 

 

 

総合型入試で合格できる受験生は

熱意・意欲・志望する学科に入って学ぶことができるだけの準備が最低限整っています。

さきほど不合格になる可能性が高い受験生と逆の順序なんです。

中には

「2か月くらいの対策で総合型で合格した」

と言う受験生もいるかもしれませんが

そういう人は「学びたいもの」が先にあるので、「受験してみようかな」と思った時点ですでにいろいろな知識や経験があるんです。

だから対策期間が短くても合格できるわけです。

そんな感じで合格した受験生からすると「総合選抜入試って一般よりはるかに楽だ」と感じるのは当然です。

なので、そういう子の感覚を鵜呑みにして「誰でも簡単に合格できるのか~」と勘違いしないようにしてください。

決して、「短期間の対策で楽に合格できる入試形態」ではありません

 

学校の勉強が苦手なので指定校推薦をもらえる可能性はないし、一般で受験するつもりはないけど、どうしても西南・福大に合格したいというなら

遅くとも高校2年が終わるころ、できれば2年の夏休み頃までには大学のアドミッションポリシーを確認し、その中で一番自分にしっくりくる学科を見つけ、それに的を絞って何らかの対策を始めることを勧めます。

 

付け焼刃でも受験すれば合格の可能性はゼロではありません。なので、「だれが何と言おうが自分は総合でも受験する」というのであれば、受けなかったことを後悔するかもしれないので受けたほうがいいです。

具体的対策

総合型入試は受験準備に相当時間を要します。

具体的には

  • 志願理由書
  • 自己推薦書
  • 小論文対策
  • 面接対策
  • ディスカッション対策
  • プレゼン対策

といったものを必要に応じて準備しなければなりません。

 

これらは普段学校で習うようなことではないので何をすればいいのか分からず、「とりあえず小論文の対策でもしておこう」という人も多いはずです。

しかし、小論文の対策ををしようにも市販の参考書だけでは結局何をどうすればいいかわからないので

ネタ本(大学入試の小論文で出題されやすいものをまとめた参考書)を丸暗記することになり

それでもやっぱり何をしていいかわからないので中途半端な状態が続き

結局願書も出さないで時間だけを無駄にする。

 

 

そうなりたくないのであれば、総合型入試専門の塾に通うのが一番です(総合型入試は学校で対策をとってくれていないなら塾を利用することを勧めます。なお、うちの塾は総合入試の対策はしていません)。

 

それでも独学で何とかしたいというのなら以下を参考にしてください。

 

まず大学が求めるのは科目試験で測れる学力ではなく、

あなた

という人物です。

あなた

を知りたいんです。

面接やディスカッションで

「あなたが今まで何を学んできたのか」

「あなたが大学で何を学びたいか」

を知りたいんです。

 

「一緒に学びたい」と教授たちに思われることも合否に大きく影響するはずです。

なので、「目を合わせて会話ができる」「笑顔で受け答えができる」要はコミュニケーションが上手に取れることも大切になってくるでしょう。

 

コミュニケーションが上手に見えても、面接官の質問に沈黙したり、明らかに付け焼刃で丸暗記したものを棒読みするなんてことをしても、あなたのことを伝えらません。

丸暗記に頼らず自分の言葉で会話をするにはそれなりの知識が必要になります。

そこで次のようなやり方で知識をつけることを勧めます。

 

 

例えば、教育・心理に関心があれば

「福岡大学(西南学院大学) 心理 教授」

といったワードで検索をかけます。

たったこれだけで、志望する学部に在籍している教授を確認できます。

次に

自分が志望する学科で指導に当たっている教授全員が何を研究しているのか調べてください。

 

高校生は大学のことをあまり知らないかもしれませんが、同じ大学の同じ学科に籍を置いている教授であっても専門は異なります。

心理学科といったら「心理学を学ぶもの」と思うかもしれませんが

  •  臨床心理学
  • 発達心理学
  • 社会心理学
  • 認知心理学
  • 生理心理学
  • 教育心理学
  • 産業・組織心理学
  • 健康心理学

というように「心理学」と一言で言っても色々なものがあるので、「心理学」に興味があると面接でいったら「具体的にどういうこと?」と問われたら

しばらく沈黙し「心理学です・・・」なんてことになってしまうかもしれません。

もちろん、願書提出時に具体的に何を学びたいのかを書くので上に書いたことは極端かもしれませんが、

付け焼刃の知識であることはすぐに見抜かれます。

 

実際に「福岡大学 心理 教授」で検索をし教育系の教授が何をしているのかを調べました。

伊藤亜希子教授が主に研究されているのが

  • 異文化間教育
  • 日独における移民への教育支援
  • 異文化理解
  • 外国人児童生徒教育
  • 多文化共生
  • 人権教育

とありました。

この研究に関心を持ったなら次にやるのが教授が出している論文・著書のチェックです。

論文は一般の人は閲覧しにくい場合もありますが、著書ならお金を払えば購入できます。

伊藤教授は著書(共著が多い)を複数出されているのでアマゾンでも手軽に入手できます(『日常のなかの「フツー」を問いなおす』)

 

この本で伊藤教授がどういう考えをしているのかを知ったうえで、自分はどう思うのか、何をしたいのかを考えるんです。

もちろん、興味関心がある教授が2人3人といるなら、すべての教授で同じようなことをします。

興味関心のあることは学べば学ぶほど知識が増え自分の考えを持てるようになるので、出願書類作成も面接も中途半端な受験生との差が確実にでてきます。

 

合格するためにはこういったことしなければなりません。

出来そうにないと思ったのなら総合型で受験をするのは止めることを勧めます。