この記事は、定期テストや実力テスト(フクト)で平均点を下回っている子を対象に書いています。

  • 平均点~平均点+50点くらいは取れているがもう少し点を取りたい
  • 勉強習慣があり集中して勉強をしているのに思うように点数が取れない

ということで悩んでいる場合は「理解せずに丸暗記」を参考にしてください。

勉強ができない(平均点が取れない)原因

まず初めに、これ以降の記事内容をイメージしやすくするためにマトリクスを示しておきます。

このマトリクスは

  • 上にいくほど「勉強量が多い」、下にいくほど「勉強量が少ない」
  • 右にいくほど「集中力が高い」、左にいくほど「集中力が低い」
  • ●黒丸は平均点を取れていない、○白丸は5教科合計で平均点+50点ほど取れている

ということを示しています。

成績が悪い原因は勉強をしていないことを示すマトリクス

これは私が経験から感じていることをもとに、少し誇張して作成したものなので、事実を正確に表したものではありませんが、

平均点に届かない根本的な原因は、単純に「勉強不足(マトリクスの下側)」であるケースがほとんどです。

勉強ができない原因が勉強不足にあるのなら、できるようになるためには勉強をするしかありません。

親から言われてしぶしぶ机に向かおうが

集団指導塾で授業を受けようが

個別指導塾でワークを解こうが

家庭教師にマンツーマンで丁寧に教えてもらおうが

表面的に何かやったところで、結果を出すための勉強ができていなければ、時間を無駄にするだけです。

とにかく「勉強をしていない」状況から抜け出しましょう。

学習習慣を無理なく身につけるコツ

では、「勉強をしていない」状態をどうやって乗り越えるのか。

ここに大きな壁があります。

これまで勉強習慣がなかった子が、急に「明日から毎日1時間勉強しなさい」と言われても、まず間違いなく挫折します

なぜなら、勉強習慣がない子にとって「勉強」は、苦痛で、面白くなく、終わりが見えないもの、というネガティブなイメージが先行しているからです。

 

そこで私がお勧めするのは「いきなり高いハードルを設定しない」ということです。

具体的には「1日5分でもいいから勉強をする」ことを推奨しています。

なぜ「5分からの勉強」が効果的なのか、行動心理学の本に書いてあることを参考に、私なりに少し掘り下げて書いていきます。

1. 心理的ハードルの劇的な低下

もし、これまで全く運動をしてこなかった人に「明日から毎日10km走れ!」と言ったらどうなるでしょうか?

おそらく、多くの人が「無理だ…」と諦めてしまうでしょう。

しかし、「とりあえず5分だけ散歩してみようか」と言われたらどうでしょうか?

これなら「まあ、それくらいならできるかも」と感じるはずです。

勉強も全く同じです。

「毎日60分勉強する」という目標は、勉強嫌いな子にとって、何の訓練もなしに富士山に登るかのような途方もない目標に感じられます。

しかし、「たった5分だけ」であれば、公園の砂場で山を作るくらいに思えるので「そのくらいなら我慢できる。やってもいいかな」と感じられ、心理的な抵抗感が格段に下がります。

この「そのくらいならできる」という感覚が、行動を起こすためのきっかけになるんです。

2. 集中力の維持と成功体験の積み重ね

これまで集中して勉強した経験がない子にとって、60分間座り続けること自体が苦痛であり、たとえ机に向かっていたとしても、頭の中は別のことでいっぱいになり、学習効果はほとんど期待できません(マトリクスの左上の●)。

対して、「5分で終わらせられるような課題」を与え、「それが終わったら終わり」という指示を出すことで、子供たちは「これだけやれば終わりだ」という明確なゴールが見えます。

これにより、「残り〇分でこれを終わらせるぞ!」という短期的な集中力が働きやすくなります。

例えば

「この英単語10個を覚えて。5分後に確認するからそれで10個のうち8個以上覚えていたらそれで終わり!」

このような短時間で終わらせられる具体的な指示を出すことで、「何をすればいいか」を明確にし、「これならできる」という成功体験を短時間で積み重ねさせることができます。

この小さな成功体験の積み重ねこそが、「自分にもできる」という自信と、次へのモチベーションを生み出す原動力となるのです。

3. 習慣化への第一歩

習慣とは、意識しなくても自然と行われる行動のことです。

歯磨きや食事のように、当たり前のように行われる行動は、特に努力や意志力を必要としません。

勉強もまた、この「習慣」として定着させることが理想です。

「5分勉強」は、この習慣化のための非常に有効な戦略です。

最初は意識して行いますが、毎日「たった5分だけ」という形で続けていくうちに、やがて「勉強する」という行為自体が、生活の中の当たり前のルーティンとして組み込まれていきます。

「小さく始めることで、継続のハードルを下げる」

これは、どのような習慣形成においても共通する成功法則です。

毎日5分でも、積み重ねれば膨大な時間になります。

例えば、平日は毎日5分、週末は少し長く10分など、徐々に時間を伸ばしていくことも可能です。

勉強を習慣化させるためのポイント

「5分勉強」を成功させるための具体的なポイントを書いておきます。

1. 「いつ」「どこで」「何を」を明確にする

漠然と「5分勉強する」ではなく

「毎日夕食前に」

「リビングで」

「英単語を10個覚える」

のように、具体的に決めておくことが重要です。

これにより、行動のトリガーが明確になり、迷うことなく勉強に取りかかりやすくなります。

2. 課題は「達成可能な量」に絞る

5分で終わる課題といっても、レベルが高すぎたり、量が多すぎたりすると逆効果です。

「簡単すぎるかな?」と思うくらいでちょうど良いと考えてください。

「計算をしなさい」「不定詞を理解しなさい」という指示を出しても構わないのですが

現在の学力状況によっては、簡単な計算問題を解くことや、参考書を読んで自分で英文法を理解することに苦労するかもしれません。

そこで私がお勧めするのは「英単語」「漢字」「理科・社会の用語」の暗記です。

暗記物であれば、覚えたかどうかがはっきりとわかるので、努力が目に見えてやる気に繋がります。

「暗記ばっかりで点数が取れるようになるの?」と思うかもしれませんが

この段階では、勉強を習慣化することが目的なので、努力が目に見える結果として現れることの方が重要なので暗記をするだけでも全く問題ありません。

また、定期テストは暗記さえできれば科目によってはそれだけで80点くらいは取れるようになるので、テストでも結果は出るはずです。

3. 終わったら「すぐに終わり」を徹底する

「もっとできるのに…」と思っても、最初のうちは「5分で終了!」のルールを徹底しましょう。

これにより、子供たちは「言われたことをやれば、本当にすぐに終わるんだ」という安心感を抱き、次の勉強への抵抗感を減らすことができます。

「物足りない」と感じるくらいが、次へのモチベーションにつながります。

4. あくまでも本人主体

理想は何も言わずに自分から勉強することですが、現状そうでないなら、勉強習慣が身についていない子には親の手助けが不可欠です。

しかし、そうであっても、あくまで主体は勉強する子ども自身です。

例えば、5分間の勉強がずっと続き、一向に勉強時間が増えないと

「5分じゃ少ないんじゃない?もう30分くらいできるでしょ?」

と親なら言いたくなるかもしれません。

そうなったとしても、そこはぐっと我慢してください。

ここで無理やり勉強をさせても、勉強時間のわりに結果が出ない(マトリクスの左上の●)のがオチです。

それまで普段の勉強時間がゼロだった子が、毎日5分でも勉強を継続するだけでも大きな進歩です。

また、わずか5分でも勉強をすることで、今まで何もできないと感じていた状況が変わってきていることに、本人も否が応でも気づく時がきます。

そうなった時に、自分の意思で勉強時間が増えてくるでしょう。

もちろん、中にはずっと5分の勉強が続く子もいるかもしれませんが、その時はそれで仕方がありません。

嫌々ながら勉強をさせたところで、誰も得をしないので、長い目で見守ってあげてください。

まとめ

「勉強ができない」という状況は、子供たちにとって大きな心理的な負担であり、自信を失う原因にもなりかねません。

しかし、その根本原因が「勉強をしていないから」であるならば、解決策は明確です。

それは、「勉強を始める」こと。

そして、そのための最も効果的なアプローチが、「ハードルを最大限に下げ、たった5分からでもいいから勉強を始める」ことです。

この「5分からの勉強」は、単に時間を区切るだけでなく、子供たちの心理的ハードルを下げ、集中力を高め、成功体験を積み重ねさせ、最終的に「勉強を習慣化する」ための強力な戦略です。

いきなり大きな目標を掲げるのではなく、まずは「今日5分だけやってみよう」という小さな一歩を踏み出すこと。

その小さな一歩が、やがて子供たちの学習に対する姿勢が変わってくるはずです。

焦らず、根気強く、そして温かい目で見守りながら、この小さな一歩を一緒に踏み出していくことが、何よりも大切です。