福岡県公立高校入試の国語について書いています。

得点率

直近3年の得点率を表にまとめました。

令和5年

全体の得点率は51.0%(30.6点)

大問一(1) (説明文) 大問一(2)  大問二(文学) 大問三(古典)
76.9% 34.9% 51.4% 92.3%
66.9% 70.4% 63.6% 48.8%
31.1% 52.8% 三(ア) 79.0% 59.4%
59.1% 64.3% 三(イ) 29.4% 61.6%
23.7% 56.0% 12.4% 五(1)ア 73.7%
7.8% 五(1)イ 49.6%
五(1)ウ 43.2%
五(2)エ 11.9%
合計得点率 46.0% 54.7% 31.4% 51.9%
得点換算 5.52/12点 4.92/9点 3.77/12点 6.23/12点

現代文・古文共に内容はそこまで難しくなかったのですが

  1. 令和3・4にあった共通テストを意識して作られたような情報処理問題が消え文章量が増えた
  2. 説明文・小説の二十五字以上、三十五字以内で考えて書く問題の難易度が過去2年と比べ明らかに難しかった
  3. 作文が書きにくかった

以上3点が影響して平均点が大幅に下がったと思われます。

 

大問1(1)の問題5(23.7%),大問2の問題4(12.4%)・5(7.8%)が自分で考えて書く問題でしたが、正答率に現れているように50分という制限時間ないで正解を出せる子はほとんどいないはずで

むしろこの正答率の高さに驚くくらいです。

特色化入試が始まる前にこの問題が出されて入れば、大問2の4・5はそれぞれ正答率は5%にも達していなかったかもしれません。

 

この年度の問題は

時間配分を考えず大問1から丁寧に解いていたら

大問2の問題4・5のあたりで残り時間が10分くらいになり、残り問題を慌てて解くことになるはずです。

入試直前期には過去問を利用して時間配分を意識することの重要性が大きく出た問題だと思います。

また、

令和3・4年は問題が簡単だったので国語が「ものすごくできる子」と「ある程度できる子」では、点数にほぼ差がでなかったと思われますが

5年の問題は大手塾のトップクラスに在籍している子(ものすごくできる子)でなければ50点以上を取ることはほぼ不可能だったと思われます。

令和4年

体の得点率は60.1%(36.1点)

大問一 (説明文) 大問二(1) (文学) 大問二(2) 大問三(古典)
94.8% 86.1% 42.5% 61.5%
75.6% 79.4% 97.4% 73.5%
82.0% 41.3% 58.9% 41.2%
32.3% 四(ア) 55.4% 76.8% 46.1%
五(1) 78.1% 四(イ) 75.1% 76.5% 五(1)ア 28.1%
五(2) 31.1% 四(ウ) 36.0% 五(1)イ 22.6%
63.5% 72.7% 五(2)ウ 20.8%
合計得点率 58.1% 59.3% 67.4% 37.7%
得点換算 6.97/12点 7.12/12点 6.07/9点 4.52/12点

令和3年と比べ平均点が下がったのは

  1. 大問1(説明文)が難しかった
  2. 古文に戸惑った

この2点が影響していると思われます。

この年の説明文は3年と比べると中学生には明らかに読みにくくなっていて、設問自体も答えにくくなっています。

古文は現代語訳もついていましたし、問5の設問を参考にすれば比較的容易に内容を捉えられるものでしたが、3つの文章があったことで戸惑った子が多かったのではないかと思います。

令和3年

体の得点率は65.5%(39.3点)

大問一(1) (説明文) 大問一(2)  大問二(文学) 大問三(古典)
38.8% 89.1% 73.3% 83.0%
82.8% 98.6% 3.6% 44.0%
55.0% 50.9% 68.5% 74.2%
80.8% 70.3% 四(1) 78.2% 四(ア) 42.3%
64.1% 63.2% 四(2) 87.9% 四(イ) 34.1%
四(3) 54.1% 四(ウ) 47.4%
合計得点率 64.3% 71.7% 59.3% 53.4%
得点換算 7.72/12点 6.45/9点 7.12/12点 6.41/12点

大問二の問題二は正答率が3.6%となっていますが、

「必死に唇を噛んで我慢した」

この一文を単語に区切る問題でした(文節に区切ってしまった子もいたはずです)。

それ以外は全体的に簡単だったので、筑紫丘・春日といった上位校を志望校にしていた場合50点前後は取らないと差を付けられてしまったはずです。

作文

直近4年の作文の得点率が68%~78%(点数だと10点~12点)くらいになっています。

2024 2023 2022 2021 2020
得点率 67.8% 75.7% 77.5% 77.0%
得点換算 10.17点 11.36点 11.63点 11.55点

令和以前に行われた入試では得点率が50%台だったこともあるので

この数字の異常さに最初は驚いたのですが

平成31年(令和元年)に特色化入試が導入されてから得点率が高くなっていることを考えると

それが影響している可能性が高いです(フクト偏差値50未満でも合格できる高校の多くが特色化入試で生徒を確保する傾向がでてきました)。

いずれにしろ、ここまで高い得点率考えると福岡中央・春日・筑紫丘といった公立高校を受ける生徒の大半が作文で満点を取っている可能性が高いので

ここで得点を落とすことは絶対にあってはなりません(取れて当たり前なので差を付けられる)。

 

一方

偏差値的にそこまで高くない高校を受験する場合

たとえ国語がものすごく苦手であっても作文対策をしっかりとして得点源にしてしまえば

仮に他の問題が白紙状態であっても他の科目で補うことが十分可能になります。

対策

国語以外の科目は各科目ごとにしっかりと勉強をしていなければ

下手をすれば10点前後になってしまうこともありますが(中学の時の私は実際にそれくらいしか取れませんでした)

国語に関しては特別な対策を取らなくても

普段からある程度勉強をし、定期テストで平均以上を取れているのなら30点~50点くらい取れてしまいます。

なので、フクトや過去問を解いてすでに自分の志望校に合格するために必要十分な点数が取れているのなら

時間を取って国語の勉強をする必要性はそこまで高くありません。

 

中学3年になってから入試対策として塾で国語の授業を50~100時間くらい受けたとしても

30点くらいしか取れなかった状況から50点くらい取れるようになることはほぼ起こり得ないはずです(中には大きく変わる子もいるかもしれませんが、ほとんどの子は大きな変化はないはずです。あるとすれば「問題が簡単だった」とか「たまたまいい結果を取れた」という場合くらいだと思います)。

 

塾の経験上

偏差値50を一度も越えたことがない子も

作文対策をし時間配分を考えてフクトや過去問を数回解くだけで偏差値50以上を取れるようになることが多いです。

それを考えても国語にはそこまで時間を割いて勉強をしないほうがいいと思います。

重要なのは普段から勉強をすることです。あくまでも入試対策として付け焼刃に国語の授業を受けてもほとんど意味がないと言っているだけで、「国語など勉強しないでいい」と言っているわけではありません。国語は不要どころか、一番重要な教科です。

説明文・小説

特にやるべきことはありませんが

中学1・2年の頃に説明文の要約をしておくことを勧めます。

それ以外は特にこれといった対策はありません。

古文

福岡県の公立高校入試の古文でやっておくべきことは

  1. 現代仮名遣いに直せるようにする
  2. 返り点

この2点です。

この2点を除けばほとんど現代文の問題を解いているのと同じです。

古文単語・文法を分かっていなければ解けない問題が問われる可能性は極めて低いので

それらを覚えても点数が取れるようになりません。

なので、公立高校入試のことだけを考えるのであれば、上に挙げた2点以外は対策らしい対策は必要はないと思います。

10年位前頻繁に出されていた、「会話の部分を示す問題」が近年出題されたので、それを見分けられるようにしておいた方がいいです。

作文

福岡県の公立高校入試の作文の採点項目は以下の通りです。

表記 原稿用紙の正しい使い方に従って書いている。(原稿用紙の正しい使い方は、左記※による。)
文体が統一され、文法上の間違い、誤字、脱字などがなく、仮名遣い、送り仮名などに誤りがない。
文字数 十行以上、十二行以内で書いている。
構成 二段落構成になっている。
内容 第一段落には~
第二段落には、第一段落をふまえ~
※原稿用紙の正しい使い方
(1) 各段落の書き出しは、一文分下げる。
(2) 句読点や符号などは、原則それぞれ一も自分をあてる。
(3) 文末の句読点と括弧の閉じの部分は、同じマスに書いてよい。
(4) 句読点や括弧の閉じの部分が行末にくる場合は、行末の文字と同じマスまたは欄外に書く。
○その他のことについては、各学校で統一して採点する。

作文対策でまず初めに注目すべきことは採点項目です。

塾に通っている場合は普段の授業でこれらを意識するよう指示を受けていると思いますが

通っていない子は意外と気にしていないかもしれません。

「表記」「文字数」「構成」の3つがしっかりとできていれば、それだけで5点も点数がきます。

過去の得点率を考えても、明らかに内容が出鱈目な場合を除けば、

何かしら文章を書いていたらこの項目でミスがない限り5点はもらえる可能性が高いです。

 

内容に関しては

与えられた「条件」を丁寧に読み、条件に従って文章を書いてください。

「『条件に従って書け』と言われてもそれができないから困っている。そこを教えてもらいたい」

と思う子が多いと思いますが、

そのように思っている時点で「こう書けばいいよ」というアドバイスをしたとしても

何を書いていいのか分からず結局白紙解答になってしまうはずです。

 

そのような場合は

何でもいいから

とにかく書く

訓練をしておくことを勧めます。

 

とりあえず何かを書いておけば5点はもらえるのだから

とにかく自分の言葉で文を書くんです。

 

書かないことにはどうにもならないのに

「書けない」と言う子は「書けない」ことを言い訳に書かないわけで

アドバイスをしても結局は書けないままなんです。

私自身もそうだったので(「偏差値30台から大学受験」)

本当に全く書けないという子の気持ちは分かりますが

そういう子であっても

とにかく書く

書くしかないんです。

時間配分

設問をすべてを解かなければならない

という勘違いをしていませんか?

 

国語の問題が簡単で、全部解いていても時間に余裕があるというのなら全部解くべきですが

令和5年の問題はもちろん

令和3・4年のように比較的簡単な問題であっても

時間内にすべてを解き終わることができる受験生は半数もいないはずです。

 

そうなんです。

受験生の多くは国語の問題を

時間内に問題を解き終われない

解けないんです。

 

時間内にすべての問題を解く力がないにもかかわらず全部解こうとすれば

大問1が終わるころには、半分くらい時間が経過し、

残りの時間で焦って問題を解くことになるので、ほぼ問題を読まずに直感で答えることになり

全く点数が取れなくなるのがオチです。

 

過去問やフクトで問題を解いたときに、大問1から解き始めていたら毎回時間内に終わらない

という場合は

問題を全部解く

という考えは捨てるべきです。

 

あらかじめ解く問題を決めておき

それらを解き終わったら残りの問題を解いてください。

そのほうが確実に点数が上がります。

 

時間が間に合わず作文を白紙状態のまま提出した経験のある子は

作文から解き始めてください。

作文は10分~15分で終わらせたいですが

国語が苦手な子は15分~25分くらいはかかったとしても

他の大問でボロボロになるよりも良い結果になるはずです。

 

説明文・小説・古文の問題で

自分で考えて解く問題がまったく解けないというのなら

考えて書く問題を初めから解かないと決めておき

選択問題や穴埋め問題だけを解くようにするのも一つの手です。

そうすれば

時間が足りなくて解ける問題まで解けなかった

ということがなくなるので

結果的に良い点数が取れるようになることが多いです。

 

解けない可能性の高い問題を捨て、解ける問題だけを解いていくことで10点くらいは点数が変わってくる子もいるはずです。

 

入試は満点を取らなければならないという分けではないので

合格するためにできる限り点数を取りに行く

という意識で問題を解くようにしましょう。

 

捨て問を作るのは

令和5年のように明らかに問題が難しい場合は特に有効です。