福岡県の公立高校入試(数学)について書いています。

得点率

数学の得点率を見れば、数字上明らかに難問と思えるものがいくつか見つかるはずです。

令和5年

全体の得点率は49.5%(29.7点)でした。

大問1・2 大問3・4 大問5・6
1(1) 96.2% 3(1:範囲) 84.8% 5(1) 75.2%
1(2) 90.7% 3(1:四分位範囲) 81.5% 5(2) 62.3%
1(3) 89.7% 3(2:X) 68.2% 5(3) 41.3%
1(4) 85.0% 3(2:Y) 58.3% 5(4) 4.3%
1(5) 75.6% 3(3:累積度数) 65.8% 大問得点率 35.3%
1(6) 26.9% 3(3:記号) 16.9% 得点換算 4.2 /12点
1(7) 80.1% 大問得点率 56.0%
1(8) 85.0% 得点換算 3.9 /7点 6(1) 46.7%
1(9) 25.1% 6(2:記号) 57.6%
大問得点率 72.7% 4(1) 54.9% 6(2:高さ) 32.7%
得点換算 13.1 /18点 4(2) 53.3% 6(3) 4.8%
4(3:T) 26.0% 大問得点率 26.2%
2(1) 17.4% 4(3:①・②) 37.9% 得点換算 2.4 /9点
2(2) 59.9% 大問得点率 41.6%
大問得点率 45.7% 得点換算 3.3 /8点
得点換算 2.7 /6点

大問1の小問集合問題(6)・(9)の正答率が20%台ですが、標準的な難易度の問題でした。

この問題を解けなかった子は

  1. 中学1・2年で習う基本問題の復習をおろそかにしている
  2. 3年で習う円周角の定理の演習量が足りない

ことが原因の可能性が高いです。

 

大問2の(1)の正答率も17.4%と低く5人に1人しか解けていませんが

問われた内容は

「あめを買いに行く。あめは、定価の20%引きのa円で売られている。このとき、あめの定価をaを用いた式で表せ。」

です。

この問題は小学生で習ったことを理解できていれば間違いようがないほど簡単な問題です(大人が解いても同じくらいの正答率になると思います)。

このような簡単な問題で5人中4人も正解できていないことから

多くの中学生が

正解を出すための手順をなんとなく覚えているだけで

理解を二の次にしていることが見えてきます。

国立大学を目指しているのにこの問題を解けなかった受験生は

高校進学後数学に対する意識を変えることを勧めます。

高校数学に関しては「中学時代には気づけない数学の実力差」を参考にしてください。

令和4年

全体の得点率は54.0%(32.4点)でした。

大問1 大問2・3 大問4・5・6
1(1) 96.4% 2(1) 68.3% 4(1) 75.4%
1(2) 90.1% 2(2:) 89.7% 4(2) 47.9%
1(3) 64.1% 2(2:) 67.4% 4(3) 36.6%
1(4) 83.1% 2(2:) 59.2% 大問得点率 49.0%
1(5) 87.0% 大問得点率 68.7% 得点換算 4.4 /9点
1(6) 81.4% 得点換算 4.1 /6点
1(7) 76.8% 5(1) 71.1%
1(8) 76.0% 3(1) 62.6% 5(2) 59.0%
1(9) 82.4% 3(2:X) 22.2% 5(3) 9.2%
大問得点率 81.9% 3(2:Y) 30.4% 大問得点率 43.1%
得点換算 14.7 /18点 3(2:Z) 23.3% 得点換算 4.7 /11点
大問得点率 36.2%
得点換算 2.5 /7点 6(1) 67.4%
6(1) 10.7%
6(1) 4.0%
大問得点率 20.3%
得点換算 1.8 /9点

大問3の(2)は正答率が20~30%とかなり低くなっていますが

標準的な文字式の問題なので教科書レベルの問題を理解しているのなら正解を出すことはそこまで難しくなかったはずです。

 

フクトで偏差値60前後を安定して取れているのにこの問題を解けなかったのであれば

表面的には数学ができるようになっていても

実際は数学が全く分かっていない可能性が高いと思ったほうがいいです。

中学のときは数学が得意だと思っていたのに高校進学後全く数学ができなくなる子が少なからずいますが

この問題を解けなかった子は高校進学後

中学と同じように数学を捉えていたら瞬く間に数学ができなくなるので、国立を目指すつもりの子は高校進学後は数学に対する考え方を一から帰ることを勧めます。」

 

令和3年

全体の得点率は47.6%(28.6点)でした。

大問1 大問2・3 大問4・5・6
1(1) 97.1% 2(1) 83.0% 4(1) 65.3%
1(2) 93.2% 2(2) 63.4% 4(2) 34.7%
1(3) 91.5% 大問得点率 71.2% 4(3) 10.8%
1(4) 85.1% 得点換算 3.6 /5点 大問得点率 30.9%
1(5) 66.7% 得点換算 2.8 /9点
1(6) 65.2% 3(1) 48.9%
1(7) 70.9% 3(2:A) 50.3% 5(1) 42.4%
1(8) 72.5% 3(2:B) 45.4% 5(2) 44.9%
1(9) 36.4% 3(3) 30.6% 5(3) 3.6%
大問得点率 75.4% 大問得点率 42.6% 大問得点率 29.4%
得点換算 13.6 /18点 得点換算 3.8 /9点 得点換算 3.2 /11点
6(1) 65.3%
6(1) 11.1%
6(1) 0.8%
大問得点率 19.6%
得点換算 1.6 /8点

大問6は時間無制限であれば解けた受験生はそこそこいたと思いますが

問題の難易度に比較して明らかに正答率が悪いことを見ても

50分という制限内に解き終わることはほぼ不可能だったはずです。

対策:得点率50%超の問題をすべて正解する

筑紫丘や春日などの上位校を受験する場合は正答率20%以上ある問題はすべて解けるようになっておいた方がいいですが

それ以外の高校を受ける場合は、数学の得意不得意にもよりますが、正答率が50%以上の問題を確実に解けるようになることを意識したほうがいいと思います。

 

数学は時間内に解き終えるのはかなり厳しいと思える難問が2~3問はでますが、それ以外は標準的な問題が多いです。

以下の表は正答率が30%~50%以上の問題をすべて正解したら何点取れていたかの表です。

平均点 50%以上 40%以上 30%以上
令和6年
令和5年 29.7点 31点 38点 41点
令和4年 32.4点 37点 40点 46点
令和3年 28.6点 26点 38点 46点

令和3年は例外ですが、正答率50%以上の基本問題が解けてしまえば平均点以上とれることが多いです。

数学が苦手で足を引っ張っている子が

福岡中央・筑紫中央・福翔などの公立高校を受験する予定であれば

数学は平均点を最低目標にし、他の科目でカバーすれば十分合格できるはずです。

 

数学が苦手だから数学の勉強時間を増やし40点以上を目指そうとするか

平均点を取れれば十分と考えて数学の勉強時間を減らして他の科目に回すか

 

どちらの方が合格の可能性が高まるかを自分なりに考えてみてください。

 

数学が苦手な子が入試まで残り半年を切ったときに必死に数学の勉強をしたとしても

30点から50点までもっていくことはかなり厳しいですし

令和3年のように点数を取りにくい年度に当たってしまえば、せっかく数学の勉強をたくさんしたのに平均点を取ることもできない

ということだって起こり得ますし

令和5年のように正答率が30%以上の問題すべてを解けたとしても41点しか取れないこともあります。

 

自分の志望校の合格最低点や数学以外の教科でどれくらい点数を取れるかを考え

数学は基本的な問題だけ解ければ合格できそうなら、難問の対策はあまりしないほうがいいかもしれません。

時間配分

令和5年の大問5の(4)と大問6の(3)

令和4年の大問5の(3)と大問6の(2)・(3)

令和3年の大問4の(3)と大問5の(3)と大問6の(2)・(3)

よほど数学が得意でない限り

50分と言う制限時間内に解き終わることは無理だと思います。

 

つまり

大半の受験生にとっては解くべきではない問題

捨て問

にしたほうがいい問題と考えるべきです。

「捨て問」

と言う表現を嫌う人がいるかもしれませんが

時間制限がある入試では一門に避ける時間に限りがあります。

明らかに難しいと思える問題を初めから解かないと決めておけば

30分~40分で一通り問題を解き終えることができるはずです。

そうすれば、残った時間を大問1やその他の標準問題を見直す時間に充てられるようになります。

 

偏差値60超の子であっても大問1の(1)を間違えるといったこともあるのが入試です。

出した答えにミスがなく全部正解しているなんていうことは滅多にありません。

 

解けない難問に時間を割くのをやめ

基本問題の見直しをしましょう。

事実

この指示を出すだけで

一気に10点くらい点数を伸ばす子は少なくありません。

 

 

なお、自分が解けない問題かどうかを判断するには

普段からある程度問題を解いておく必要があります。

標準的な問題が解けるようになって初めて

出題された問題が自分が解ける問題かそうでないかが分かるようになるので

普段の勉強は怠らないようにしてください。

 

本当に数学が苦手な場合は、大問4~6の最終問題は初めから無視するのはありです。問題を一切見ずに、解けそうな問題を一通り説いた後、見直しをするようにしましょう。

三平方の定理

中学3年の3学期に習う三平方の定理を利用する問題は必ず入試に出ると思ってください。

しかし、福岡県の公立高校入試で三平方を使って解く問題は間違いなく難問になります。

定期テストレベルの三平方の定理が解けるようになる程度では絶対に解けません。

 

これは

定期テストレベルの基本問題は簡単に解ける実力だろうと

定期テストどころか三平方の定理という言葉すら知らなかろうが

どちらでも入試の問題が解けないということを意味します。

 

公立高校入試のことだけを考えれば

三平方の定理の勉強をしてもほぼ意味がない

という分けです。

なので、残り時間が少なくて数学をやるよりも理科・社会をやりたいという場合は

三平方の定理を捨てるのも一つの作戦です。

 

 

ただ、大問1の小問集合問題で三平方の定理の基本を問う問題が出る可能性はありますし

私立高校入試では定期テストレベルの三平方モテ入りの問題を出すところがあるので

まったく勉強をしないのはお勧めしません。

 

勉強は入試のためにやるというよりも、勉強を通じて自分の能力を高め将来に役立たせるためにやるものです。少なくとも中学までは「これはしないでいい、これはしたほうがいい」と振り分けるべきではありません。入試直前期になって焦らなくて済むように、普段からしっかりと勉強をしておくことが一番です。

公立高校受験では直前期に数学の勉強はしない

レイズでは

2学期の期末テスト終了後までは数学(英語も)の勉強を重視し

その時点で数学を(英語も)志望校合格レベルまでしておけば

入試直前3ヶ月に英語・数学の勉強量を大幅に減らし、理科・社会の暗記に大半の勉強時間をさけるようになります。

フクトでD・E判定しかとったことがないのに合格できる子がレイズにはたくさんいますが

ここに理由があるんです。

 

理科・社会のように大量の暗記が要求される科目と異なり

数学・英語は一度できるようになってしまえば、多少勉強をしなくても急に成績が下がることはありません。

暗記科目は受験直前期に一期に仕上げる

のが受験勉強の鉄則です(私がそう思っているだけで、違う考え方の人もいると思います)。

 

5教科の配点が均等になっている福岡県の公立高校入試では

数学の勉強は入試直前期にそこまで力を入れるべきではありません(うちの塾では塾の授業とその復習以外は数学は絶対やってはダメだと生徒たちに伝えています)