塾に通う大きな理由の1つが「成績を伸ばすため」ということだと思います。
しかし、「塾に入れば必ず成績が上がる」という保証はありません。
成績を伸ばすためには、生徒本人の学習意欲が不可欠だからです。
塾は、授業や授業内でのコミュニケーションを通じて意欲を維持できるようにサポートしたり、意欲が弱い生徒には管理をすることで、勉強に向かわせようとするだけで
実際に勉強をするするのは自分自身なので、当然と言えば当然です。
「内圧」と「外圧」
学力向上のためには、生徒が持つ「学びたい」「成績を伸ばしたい」という強い内的な意欲が不可欠です。
しかし、その意欲を成果に結びつけるためには、生徒自身の基礎学力(暗記・理解・勉強量)が大きく関わってきます。
結局のところ、塾に通って学力を高めるためには、生徒自身の「内的な意欲(内圧)」、そして土台となる「基礎学力(暗記・理解・勉強量など)」の二つが重要で、
それをより効果的にするのが塾の「環境や指導による管理(外圧)」です。
塾に通っても伸びないことが多い理由
他塾から移ってきた子や、塾生から聞いた他塾に通う子の様子を耳にすると、大手集団指導塾の下位クラスや、フランチャイズ形式の個別指導塾について気づく点があります。
それは、「指導における生徒自身の学習意欲(内圧)も塾側からの厳格な指導や課題管理(外圧)も低いのでは?」ということです。
もともと「自ら積極的に学ぼう」という強い意欲が少ない子に対し、塾側がその意欲を高めようと過度に厳しい指導や大量の課題を課した場合、生徒が退塾してしまう可能性も考えられます。
このため、塾の中には生徒が退塾することがないように強い「圧」を書けないようにしているのだろうと思います。
その結果
- 講師が最低限の授業を行い、楽しい会話をして終わるだけ
- 一方通行の授業で生徒がただそこに座っているだけで何も学ばず時間だけが過ぎる
といったケースが出てくるのだと思います。
このような環境では、「内圧」が極めて高い、つまり元々学習意欲が旺盛で自律的に学習を進められる一部の子は成績が伸びるが、
そうでない子は成績に変化がないか、伸びるどころか内容が難しくなるにつれ下がっていくことになる可能性が高いのは、当然なのかもしれません。

伸びる生徒の特長
一方で、入塾テストなどを設けて学力で生徒を選抜している、進学塾や大手塾の上位クラスでは様相が大きく異なります。
これらの塾では、生徒たちは「難関校に合格する」といった目標、あるいは「親が喜ぶから」といった思いがあるので、学習意欲が高いことがほとんどです。
さらに、塾側もその目標達成のために、大量の宿題、頻繁な小テスト、成績に基づいたクラス分けなど、うまく「外圧」をかけています。
生徒は自らの意思で努力し、塾はそれを強力に後押しするといった、内発的な動機と外発的な圧力が共に高い環境にあるわけです。
この相乗効果によって、学力の飛躍的な向上が期待できるようになります。
塾が子供たちの意欲を高めるために働きかけるのは当然ですが、それでやる気が徐々に生まれる子もいますが、そうでない子もいます。
結局、自分が期待する結果を出すのは、塾に通うこと自体によって保証されるわけではなく、「内発的な動機」欠かせないということになります。
高校での学習:難化する内容と塾の役割の限界
上で書いたことは、中学生までの学習において顕著ですが、高校生になると話は少し複雑になります。
高校の学習内容は、中学校と比べて、暗記すべき事柄が爆発的に増加し、内容が抽象的かつ高度になります。
特に数学や理科、そして英語の長文読解などは、丸暗記でなんとか結果を出してきた子は相当苦しむはずです。
そのような子が中学のときと同じやり方・勉強量のままだと、仮に個別指導塾に通ったとしてもほぼ確実に勉強ができなくなります。
高い学力と自律性を持つ生徒は自律学習で完結する
高い学力と自律性を持つ子であれば、市販の参考書や問題集を活用し、自分のペースで学習を進めたほうが良い結果を出せる可能性が高いです。
もし、塾を利用するとしても
- 集中して勉強ができる環境を確保する
- 長時間悩んでも解けない難しい問題に直面した時に的確に解説してくれる
こういった場合に限ります。
しかし、高校生の学習内容を教えられる講師は少数です。
特に大規模フランチャイズの個別指導塾でそのような指導を提供できる講師に巡り合うことは、滅多にありません。
塾に通うとしても、九大以上の大学に合格している講師から指導を受けられるところを探すしかありません。
結局、自力で勉強をするのを基本にし、どうしてもわからない箇所が出てきたら学校の先生に教えてもらうことになります(福岡県の私立高校なら学力の高い先生が多く在籍しているはずなので塾に通う必要がない)。

基礎学力が不十分な生徒は授業内容を理解できない
一方で、基礎学力が不十分な生徒が塾に通って授業を受けても、効果は限定的です。
高校の高度な内容の説明をされても、それを受け取るための土台となる基礎知識や、論理的思考力が欠けているため、何を説明されているのか理解が非常に困難になります。
さらに、高校の学習では、英単語、古文単語、化学の元素記号や反応式など、大量の暗記が避けて通れません。
この暗記作業を疎かにして、必要な知識をインプットしなければ、いくら高度な問題の解説を聞いたところで、その知識を使いこなして問題を解くことはできません。
つまり、高校の学習においては、「学ぶ意欲」だけでなく、「中学のときと比べ2倍、3倍にもなる勉強量と暗記量を担保すること」が、その後の学習の土台として不可欠となります。
多くの生徒は、まずこの「毎日継続して、質・量ともに十分な勉強をする」という習慣化の段階でつまづいてしまいます。
塾に通う前に確立すべき習慣
中学生では、塾に週2・3回通うだけで、家ではほとんど勉強をしていなかったのに、フクトで偏差値50~60くらいを取れていた子が多くいると思います。
しかし、高校で高い成績を維持するには、中学のときと同じことをしていては不可能です。
「覚える量」「難易度」が中学の何倍も難しくなっているのだから当然です。
そのため、高校でも一定の成績を取りたいと思うのであれば、まずは1日2時間は勉強をするようにしてください。
それもできずに、中学のときと同じようになんとなく塾に通うだけだと、お金をどぶに捨てるようなものです。
