定番受験数学参考書の
入門問題精講と基礎問題精講について書いています。
標準問題精講と上級問題精講に関しては私が解いたことがないのでここでは挙げていませんが
西南・福大(理系学部含む)を数学で受験する場合
仮にこのシリーズを利用するとするなら
基礎までで十分だと思います。
目次
入門問題精講
基礎問題精講の前に入門の方に少しだけ触れておきます。
【入門問題精講】のカバー袖に
いきなり例題を解くのではなく,考え方,公式などを「講義」で丁寧に解説しました。
本講義により例題の理解がスムーズになります。
数学の考え方から解説しているので受験対策の最初の本として最適です。
「受験対策の最初の本」とある通り、
高校2年生が受験生になる前に数学の考え方を一から確認するのに最適な導入用参考書だと思います。
また
受験生だけでなく
高校数学を初めて勉強する高校1年生や1年の内容を確認したい高校2年生も問題なく使えます。
単元によっては難しいと感じるところがあるかもしれませんが
数学が苦手でない限り理解できるはずです。
もちろん
この参考書だけで「入試問題が解けるようになる」なんてことはなく
あくまでも導入の導入に使う参考書なので
これとは別に自分の実力に応じて「基礎問題精講」やその他の演習用問題集に取り組む必要があります。
また
中学の時と同じようにちょっと読んだり解いただけでできるようになると思っていたら
全くできない
と感じるのは当然です。
中学と高校の学習内容を同じものと考えている人がいるとすれば
すぐにその考えを改めましょう。
基礎問題精講
基礎問題精講は
学校の授業にはそこそこついていけている人が
それまで習った内容を短期間で一気に復習するための参考書という位置づけです。
難問というような問題はないので
高校の授業についていけている人なら効果的に活用できるはずです。
どれくらいの人実力があれば使えるかを少し具体的に書くと
たとえば
数学Ⅰ・Aの
【基礎問題精講】
4番目のテーマの基礎問題(6)に次の式を因数分解せよ
xyz+xy+yz+zx+x+y+z+1
という問題があります。
この問題を解くための解説が
因数分解はまずは、「共通因数でくくる」ことが基本です。ポイントは次の2つ
①ある式全体を「=t」などとおいて式を見やすくする
②文字が2種類以上あるときは、次数の一番低い文字について整理する(その他の文字は定数となる)
となっています。
たったこれだけです。
なので、この解説を読んで「そういえばそうだったな」と思えるのなら十分この参考書を使えるはずです。
一方
「次数の一番低い文字について整理する」
とか
「その他の文字は定数となる」
ということが
何をいっているのかチンプンカンプンな人もいるはずで。
そういう人は残念ですがこの参考書は使えません。
チンプンカンプンではないが
解説を見ればどういう手順で解けばいいかはなんとなくわかる
という人もいるはずです。
しかし、そういう場合であってもこの参考書を使えるかどうかはまだわかりません。
というのも
この参考書は数学がそこまで得意でない子にとっては
基礎問題と演習問題の難易度にかなり乖離を感じるものになっているからです。
なので、基礎問題をなんとなくわかると思えたとしても
演習問題になると解説を見ても
????
となるかもしれないんです。
例えば
テーマ4の演習問題(3)が
a2(b-c)+b2(c-a)+c2(a-b)
この式を因数分解しなさい
という問題になっているのですが
どうでしょうか?
因数分解はまずは、「共通因数でくくる」ことが基本です。ポイントは次の2つ
①ある式全体を「=t」などとおいて式を見やすくする
②文字が2種類以上あるときは、次数の一番低い文字について整理する(その他の文字は定数となる)
という解説だけで解けますか?
解けないにしても解説を見てなぜそういう答えになるか理解できますか?
学校の授業にもついていけていない人はほぼ間違いなく
解説を見ても最終的な答えがなぜその形になるのかを理解できないはずです。
ではこれがそんなに難しい問題なのか?
と問われれば
数学がある程度できる人(学校の授業についていける人)にとっては
いや、そうなるからなるに決まってるでしょ?分からないわけないでしょ?
と思える問題なんです。
こんな問題ができなくてどうやって大学入試の問題を解けるの?
というレベルの超基礎問題です。
しかし
苦手な子には解説を読んでもなぜそうなるかが理解できないんです。
このように
最低限の力がある人からすれば難易度差を感じない程度の問題であっても
数学が苦手な子にとっては
基礎問題と演習問題の難易度差がありすぎて
基礎問題は分かるけど演習問題は理解できない
ということが多くのテーマで起こってしまいます。
お勧め参考書
最初に書いた通り
この参考書は
学校の授業についていけないほど数学が苦手という分けではなく
短期間で基本の復習をする人が使うのに適した参考書です。
具体的に書くと
- やるべきことが多すぎて時間が足りない国立理系学部受験生
- 高校1・2年のとき進研模試(数学)で偏差値60前後とっていた共通テストでしか数学が必要のない国立文系大学受験生
- 受験ギリギリまで勉強をさぼり時間がない私立中堅大学受験生
が短期間で復習をするときのものと思ってください。
時間がある高校1・2年生はこの参考書を使う必要性は高くないですし
数学が苦手な国立文系学部受験生は
たとえ受験までに時間があまり残されていない場合であっても使うことはできません。
そういう場合にお勧めできる参考書は
数学の授業を受けたことがない高校1・2年生が独学で予習することもできる
「チャート式」
です。
時間がない場合は少ない問題で復習をしたいという気持ちは分かりますが
使う実力がないのであれば
量が多かったとしても基本から確認できる網羅系の参考書を使うしかありません。
網羅系の参考書はチャート式以外にもたくさんありますし
チャート式を否定する人もいますが
チャート式は他の網羅系と比べるとレベルが細分化されているので
自分の実力に合わせて勉強をするのに向いています。
なお、チャート式を利用する場合は基礎問題精講は
使ってもいいですが
別に使わなくても大丈夫です。
チャート終了後は
受験する大学に合わせて必要だと思える参考書(学校の先生に聞くのが一番)を利用してください。
※ チャート式も例題とPRACTICEを比べたら後者の方が確実に難しい問題になっていますが、少なくとも例題を理解する力があれば、PRACTICEが初見で解けなかったとしても解説を読めばある程度理解できるはずです(もしそれで理解できないのであればおそらく独学で数学をやるのは厳しいです)