三角比を含む不等式

たとえば

0°≦θ≦180°のとき、

tanθ≧ -1

を満たすθの範囲を求めよ。

といった問題を例に使い

 

三角比を含む不等式の問題だけでなく

それ以外の数学の問題を解くのも苦手

という人が問題を解けるようにするためにどうすればいいか

について書いていきます。

 

なお

「わかりやすく説明」というタイトルにしていますが

この問題を誰にでも分かるように解説をしているわけではありません。

 

なぜこの問題ができないのか

そして

できるようになるためにはどういう努力が必要なのか

について書いています。

高校数学が本当に苦手な人にもわかりやすく説明する

数学の問題が全く分からず

超基本的な参考書を読んだり

ネットで分かりやすい解説授業を見たり

したことがある子はかなり多いと思います。

 

でもそのときに感じるのは

いや、その解説が分からないんだよ

じゃないでしょうか?

 

言っていることはなんとなくわかるんだけど・・・

でもよくわからない

なんでそうなるの

そこを教えてもらいたいんだよ

とイライラするんですね。

 

「数学が本当に苦手な人にもわかりやすい説明」

なんてものは

本当に数学が苦手な人が読んだり見たりしたところで

残念ですが

分からないんです・・・

 

数学ができてしまっている人は数学ができない人がなぜできないのかが分かっておらず

たとえ

「『こんなの知っていて当然』というところも詳しく説明」

というようなことが書いてある参考書や映像であったとしても

数学が本当にできない人からすれば

や、だからそれすらなぜそうなるか分からないんだって・・・・

となるわけですね。

 

本当に数学ができない自分が聞きたいのは

そこじゃないんだよ!!

と叫びたくなるはずです(だとしたらあなたは私の仲間です。私も数学が凄く苦手ですから)。

 

では

どうすれば高校数学が超苦手な人ができるようになるなるのでしょうか?

中学の内容に戻ってもあまり意味はない

中学数学が全くできないという子が高校数学を必死になってやろうとすることは考えにくいので

高校数学をなんとかしたい

と悩んでいる子は

中学時代まったく勉強をせずに平均点も取れていなかった

最低限の勉強をしていたので偏差値は50~60くらいはあった

という子なはずです。

前者は多少は中学数学の復習をしてもいいかもしれませんが

高校数学の超基礎を解説する参考書を使えば特に中学数学に戻る必要もありません。

 

なぜ中学の復習をしても意味がないかというと

中学数学と高校数学の関連性が薄く

中学の方程式・関数の計算ができているのなら

中学数学の復習をしても高校数学に活かせる場面がほとんどないからです(高校の超基礎を解説する参考書を読めば足りる)。

 

なので、

中学の時からそこまで数学が得意ではなく

偏差値も50台前半しかなかった

という場合であっても

計算ができていたのであれば

中学数学に戻る必要はないと思って構いません。

 

以下

まったく勉強をせず問題を解こうとする以前に何もしていないという人を前提にしていません。

ある程度勉強はしているけど

数学が分からな過ぎて適当に流してきたが

どうにかしないとこのままでやヤバい

という人を前提にしています。

勉強をしていない人が高校数学ができるようになるわけがないので、そんな人はまずは勉強してください。

どこまでさかのぼってやり直す?

なぜ解けないのか

ここでやっと

最初に挙げた問題

 

0°≦θ≦180°のとき、

tanθ≧ -1

を満たすθの範囲を求めよ。

 

について書いていきます。

 

 

これは黄チャートのP190(補充例題117)の(2)なんですが

 

おそらく

タンジェントの範囲が

tanθ≦ 1

であれば

なんとなくできる子もいるかもしれません(本気で「できるようになろう」と思わずダラダラやっている子はこの問題でもできないかもしれません)。

 

そんな子でも

tanθ≦ -1

になると分からないはずです。

なぜわからないかというと

tanθが「-1」よりも小さいという感覚が単位円を書いたとしてもしっくりこないからです。

 

このとき自分で考えようとせず

90度よりも角度が大きい場合はtanθが「-1」よりも小さくなるのは「135°」よりも角度が大きくなるところ

と教えてもらえば

答えが

0°≦θ≦90°、135°≦θ≦180°

になることはなんとなく分かるはずです。

 

しかしですね

これがですね

中学の時は偏差値60くらいはあったのに高校になると全く分からなくなった

という子が

いつまでたっても数学ができるようにならない

原因なんです。

 

つまり

理屈抜きの丸暗記

をしているので

その場ではできるようになったつもり

だけどすぐに忘れるし応用問題も解けるようにならない

状態に陥るわけです(個別指導塾に通って学生講師から説明されてもいつまでたっても問題が解けるようにならない原因でもあります)。

数学は暗記

どうすれば解けるようになる

数学が得意でない人でもわかるように解説してくれようとしてくれる数学が得意な人も

数学が苦手な人がどこが分からないからわからない場合が多く(どれだけ自分は分からない子にも教えられると自負している人であっても、本当に分からない子に教えられる人は少数なはずです)

解説を聞いたところで結局は理屈抜きの暗記になってしまうんです。

 

ではどうすべきか

【高校数学が苦手なら「とにかく」手を動かす】時間をかけて悩み抜く」に書いた通り

自分でやり抜くしかないんです。

 

 

0°≦θ≦180°のとき、

tanθ≧ -1

を満たすθの範囲を求めよ。

 

この問題を理解するために

動画を見ようが参考書の解説を読もうが何をするにも

「-1」よりも大きくなるのは「135°」よりも角度が大きくなるところ

と覚えるのではなく

なぜ

「-1」よりも大きくなるのは「135°」よりも角度が大きくなるところ

になるんだろう?

と答えを見て自分で納得できるように必死に問題と向き合う必要があるんです。

 

そのためには

黄チャートではどうにもならないので

数学基礎を身に着ける参考書」にも挙げている

「入門問題精講」

「やさしい高校数学」

「白チャート」

「日常学習から入試まで使える 小倉悠司の ゼロから始める数学」

といった自分が黄チャートの前に使っていた参考書に戻って(黄チャートをやっている時点で上の参考書レベルは終えている前提、苦手な人は黄チャート以外にも参考書が必要)

考え直すんです(白チャートは三角不等式をまともに扱っていないので復習には使えないが)。

 

考え直すといっても一筋縄にはいくものではありません。

上に挙げた問題を解けるようになるために

10分20分程度でどうにかなるなんて思ってはダメです。

1時間2時間、場合によってはそれ以上の勉強時間を要するかもしれません。

解説を読んで

なんでそうなるかわからない

と思っても

とにかく悩み抜くんです。

 

そうすれば

全く何をやっているかわからなかった状況が少しずつ変わり(信じられないかもしれませんが、本当に変わってくるんです)

あ~

これは中学2年で習った1次関数のグラフを理解できていなかったからだったんだ

0°≦θ≦90°、135°≦θ≦180°」が答えになる理由がやっとわかった

といったようになるんです。

「やる」か「やらないか」

このように自分で納得して理解できたら

同じような問題が出た時に

あれ?なんで「0°≦θ≦135°」が答えじゃないんだ?

というような同じようなことでストップする(問題が解けない)ことがなくなるんです。

 

当たり前ですが

勉強は

できない部分をできるようにしなければできるようになりません。

 

中学までは人から教えてもらったものをわけも分からず暗記しておけば解けていたかもしれませんが(それも難しかった子もいると思いますが、その場合は高校の内容を理解することはおそらく難しいです)

理解しなければ解けない問題がたくさん出てくる高校ではそうもいきません。

分からなければやり抜くしかないんです(悩み抜くためのフォローをしてくれる先生・講師がいるのならその人に頼ったほうが時間を短縮できますが、そういう人に出会えることは滅多にないので、自分でやり抜くしかないと思ってください)。

それができなければ表面的に勉強をするだけになるので

いつまでたっても

できない問題ができない問題のままです。

 

数学が苦手な人でここまで頑張れる人ははっきり言って少ないです。

だから、高校では数学ができない子がたくさん出てくるんですね。

ただ、中学時代数学で偏差値55前後くらいは取れていた人であれば

努力によってできるようになる可能性が高いので

あとは

「やる」か「やらないか」

それだけです。

できる人と同じ努力ではどうにもならない