「成績を伸ばすためには授業を増やさなければならない」と考えている子も少なくありませんが、それは誤解です。
成績を伸ばしたいのなら「授業数」を増やすのではなく「自学の時間」を増やしてください。
目次
個別指導でコマ数を増やす効果
うちの塾の「個別指導」は春休み・夏休み・冬休みのときは時間帯を変更させてもらいますが、コマ数は普段と同じ回数だけ通ってもらっています。
夏休みだからといって、コマ数をいたずらに増やすことはしていません。
なぜなら、コマ数を増やしたとしても必ずしも成績が伸びるとは限らないからです。
以下、その理由を書いていきます。
※ ここでの「個別指導」はプロが1時間8000円~1万5千円くらいの授業料でトップクラスの子を対象に指導する場合を除きます。
集中力の低下
人間が集中して勉強できる時間には限りがあります。
多くの授業を詰め込みすぎると、集中力が散漫になり、せっかくの授業内容が頭に入りにくくなります。
集団授業であれば、説明・演習・演習後の解説が適量で行われるため、常に気を張っているわけではありません。
また、自宅や自習室で自学をする際は、疲れたら自由に休憩を取り入れることができます。
しかし、個別指導を最大限に活用したいと考えている子は、講師に教えてもらう時間を中断することに抵抗を感じ、休憩を取りづらいはずです。
これでは指導を受けている間ずっと緊張することになるので、よほどの集中力がなければ効率的に勉強をすることは難しいです。
「適当に休めばいいのでは?」と思うかもしれませんが、そうであればわざわざ集団指導よりも高い授業料を払って個別指導塾に通う必要はないと思います。
塾に遊びに行っている子も一定数いると思いますが、その場合、塾に通うことそのものを考えたほうがいいかもしれません。
ちなみに、レイズでは個別も集団もどちらもやっているので断言できますが、例外はあるにしても、基本的に個別で伸びる子は集団でも伸びます。
個別よりもむしろ集団でやったほうが成績が伸びるくらいです(伸びない子はどちらでも伸びない)。
自学自習時間の減少
塾の授業を受けるだけでなく、自分で問題を解いたり、復習したりする自学自習の時間は、成績向上に不可欠です。
塾のコマ数が増えすぎると、この大切な時間が確保できなくなってしまいます。
塾はあくまで自学自習をサポートする場と捉え、自主的に学ぶ時間を十分に確保することが何よりも重要です。
後に詳しく述べますが、成績を伸ばすのに重要なのは授業そのものよりも、自分で勉強する時間なのです。
受け身の学習になりやすい
個別指導のコマ数を増やすことは、子どもが自分で学ぶ機会を奪うことにも繋がります。
「勉強は塾でやれば十分」という意識が芽生えやすく、家では勉強しなくなるケースも少なくないのではないでしょうか?
人から与えられなければ勉強ができない状況に陥ると、主体的に課題を見つけ解決する力が育ちにくくなります。
受け身の勉強では、「本気で覚えよう」「絶対にいい点を取ってやる」という強い気持ちを持ちにくく、思うように成績が伸びないことが多いです。
※ これは、講師の指導方法によっては集団指導でも同じようなことが言えます。
成績を伸ばすのは「授業」ではなく「自学の時間」
個別指導塾に通っている子は「夏休み期間中はどのくらいのコマ数を取った方がいいか?」と疑問に思うはずです。
学習状況や目標によって最適なコマ数は異なりますが、上に書いた通り「コマ数を増やせば成績が必ず伸びる」とは限りません。
塾はあくまで学習をサポートする場所です。
授業で得た知識を自分のものにするためには、主体的な学習、つまり質の高い自習が不可欠です。
授業で学んだことを自宅または塾の自習室などで復習し、宿題をこなし、自分で問題演習に取り組むなど、自習の質と量が成績アップに直結します。
目安として、授業1コマに対し、3倍程度の自習時間が必要だと考えましょう。
中学1・2年生の場合
「なんとなく」塾に通い、真剣に勉強していないようであれば、夏期講習でコマ数を増やす必要はありません。
「塾に通わせないと勉強しないから」という理由で塾に通わせる保護者の方もいると思います。
しかし、そのような理由で塾に通わせても、ほとんどほとんど何も身につかないはずなので、成績向上に繋がらない可能性が高いです。
なので、そのような子は普段と同じコマ数のままにしておき、家で勉強をさせる工夫をしたほうがいいと思います。
塾を上手に利用している子で、塾に通うことでモチベーションが上がるという場合は、週に3回~5回は通ってもいいかもしれません。
ただし、通った回数に応じた自学ができないのなら、回数を増やしても成績上昇の効果は薄いです。
普段塾以外でどれくらい勉強をするかによって回数を決めましょう。
中学3年生の場合
中学3年生も基本的に中学1・2年生と同様に、夏期講習でいたずらにコマ数を増やす必要性は低い場合が多いです。
入試が近づくため焦りを感じるかもしれませんが、闇雲にコマ数を増やすよりも、効果的な自習時間を確保することに重点を置くべきです。
夏期講習のコマ数を決める際は、子どもの学習スタイルや目標、そして何よりも「主体的に学習する時間」をどれだけ確保できるかを考慮して、最適なプランを立てることが大切です。
個別指導塾のおすすめの受講法
もし、週に何コマも受講しているにもかかわらず成績が伸び悩んでいるのであれば、それは授業時間と授業料を無駄にしていると思ったほうがいいです。
子ども自身が主体的に学習に取り組まなければ、個別指導の効果は半減以下になってしまいます。
夏期講習に限らず、個別指導塾を最大限に活用するためのヒントを書いておきます。
苦手科目に絞る
5教科すべてを個別で受講する必要はありません。
自分で勉強をするのが難しい数学や、単純暗記だけでは解けない単元などに絞って受講することをおすすめします。
公立中学に通う子の場合、社会や国語は個別指導で受けても効果が薄い場合がほとんどです。
授業の前に予習をする
本来、個別指導は分からない点を効率的に解説するために最適です。
しかし、多くの個別指導では、生徒が塾に来て問題を解き、その解説をするという形になってしまい、授業時間の半分近くが問題を解く時間になってしまっています。
これでは非常にもったいないです。
授業を最大限に利用したいのであれば、事前にテキストの問題を解いておき、何が分からないのかを明確にしておくことです。
そうすれば、授業の大半を分からない問題の解説に使うことができます。
事前に教えてもらう内容が終わったら、先に進むようにすれば、費用に見合う効果が得られるはずです。
自習室を積極的に利用する
もし利用している個別指導塾に自習室があるなら、毎日1コマだけ授業を受け、残りの時間は自習室を活用するのがおすすめです。
人間は長時間、自分のペースで休憩が取れない環境に拘束されると集中力が低下します。
自由に休憩できる自習室で、自分のペースで学習を進めるほうが効率的です。
自習中に分からない問題が出てきたら、次の授業で質問するなど、塾を「自分の学習をサポートしてくれる場所」として積極的に活用する意識が大切です。
自習室を利用しない場合でも、授業後には必ず復習をするようにしてください。
復習をしなければ、覚えたことが記憶に定着しにくくなり、授業を受けた意味がほとんどなくなってしまいます。
これらの点を意識して、個別指導を効果的に活用し、自学自習の時間を大切にしてください。
それが成績アップへの一番の近道です。