読書を通じて自分の世界を広げるに既に書いていますが、ここ最近さらにその重要性が増してきていると感じ

改めて書いておこうと思います。

言葉・知識を増やすことの重要性

例えば、本(小説、漫画、雑誌・絵本・ビジネス書など)を読んでいて、心が震えるほど何かを感じているのに、「面白い」「悲しい」「共感する」といった普段使っている大雑把な言葉しか出てこないことがあると思います。

極めつけは「ヤバイ」です。

このようなことに陥っているのは、適切な言葉を知らないために、自分の感情をうまく表現できず、モヤモヤした状態になっているからです。

幼い子どもが自分の気持ちを言葉にできず、かんしゃくを起こすことがありますが、それに近い状態とも言えます。

厳しい見方をすると「言語化能力の欠如」によって自分の感情すら自分で気づけていない状況に陥っているとも言えます。

 

とはいっても、自分の気持ちを言葉にできないことは普通に生活を送っているときに困ることはないので、このことを気に留める人はほとんどいないはずです。

しかし、その状況はこれからさらに加速するAI社会では相当危険だと私は考えています。

というのは、人に言われた通りのことをしておけば何とかやっていけていた今までの世界が大きく変わり

知識が相対化され、学校の勉強さえできていれば何とかやっていけた時代が終わる可能性が高くなっているからです。

実際に「膨大な情報へのアクセスが可能になり特定の専門家だけが知っているという情報がなくなる」と言われるのを聞いたことがある人も多いはずです。

また、科学技術の進歩が速すぎ、1か月前に新しいとされていた知識・理論・技術が、1か月後には古いものになる可能性もあり、知識が常に更新され続けるため、「この知識や技術があれば大丈夫」という考えができなくなっています(実際にAI関連のことを素人なりに学んでいると変化に驚くと同時に恐怖さえ感じます)。

このように、知識や技術の価値が絶えず変化する現代においては、特定の知識を蓄えることだけでは、変化の激しい社会に対応できないはずです。

 

そういう時代だからこそ、言葉を学び、知識を増やしていくべきだと私は思うんです。

なぜなら、言葉を覚えることは、自分の内面を深く理解し、世界を広げることにつながるからです。

世界が広がれば、「自分が何をしたいのか」「自分に何ができるのか」ということが見えてきます。

その結果、変化の激しい社会においても、やりたいことを軸に様々な選択ができるようになります。

知識や理論、技能の価値が相対的に下がるとわかっているのに、学校の勉強だけに頼るのは危険で、学校では学ばないような言葉・知識を増やしていくことの重要性が高い。

言葉がなければ世界はない

哲学の本を読んでいると

「私たちが『言葉にできない』と感じる瞬間は、その人にとっての世界がまだ存在していない状態だと言える」

とかといった言い回しや

「言葉は、世界を認識するための『レンズ』のようなもの」

なんていう洒落た表現を見ることがあります。

哲学では、言葉は思考の道具です。

もし「自由」という言葉がなければ、私たちは自由をなんとなくの感覚としてしか感じられません。

しかし、「消極的自由(誰からも邪魔されない自由)」や「積極的自由(自分のやりたいことを選べる自由)」といった言葉を学ぶことで、自由という考え方を深く掘り下げて考えることができます。

言葉がなければ、自由について深く議論したり、社会での意味を考えたりすることはできません。

科学でも、言葉は発見や理論の土台となります。

たとえば、目の前にリンゴが落ちてきたとします。

言葉がなければ、「ああ、何かが落ちてきた」と漠然と感じるだけです。

しかし、「リンゴ」という言葉を知っていると、「リンゴが落ちた」と具体的に認識できます。

また、ニュートンが「これは重力だ」と名付けて法則を見つけ出す前は「リンゴが木から落ちる」という現象をただ見ているだけでした。

「重力」という言葉を知ることで、「重力によってリンゴが落ちたんだな」と考えられるようになり

さらにその背景にある法則、たとえば月が地球の周りを回る現象などまで理解できるようになってきました。

このように言葉がなければ、私たちは世界をぼんやりとしたままにしか見ることができません。

言葉がない状態は、まるで霧がかかった世界にいるようなものです。

目の前にある物や、心の中の気持ちをはっきりと認識することができません。

少しカッコつけて書いてしまいましたが、私は物理のことはよくわからないので間違ったことを書いているかもしれませんが

世界が「言葉」から始まっているということがなんとなくイメージしてもらえたと思います。

学んだことを元に世界を広げる

知識の価値が相対的に下がったとしても今現在小中学校で学ぶ内容の重要性がなくなるわけではありません。

むしろ、それらを基に自分で考え行動を取れるようになる必要があるので、基礎学習の重要性が増すと私は思っています。

それについては「小中学校の時の勉強の重要性が確実に増す」に書いているので興味があれば読んで見て下さい。

とはいっても、勉強ばかりして偏差値の高い高校・大学に進学することの価値は下がることはほぼ間違いありません(30代以降の年齢の人たちがどの大学を卒業したかに関心を持つことはしばらくはなくならないと思いますが、九大で学ぼうが、福大・九産大で学ぼうが、そんなことよりも、「あなたは何を考えどういったことをしたいのか」、つまり、「自分」をしっかりと持っていることの方に重要性・価値がシフトしていく)

だから、学校の勉強はあらかじめ決めた時間内だけでやり、それ以外の時間は自分が面白いと思うことをやるべきだと思う。

しかし、能動的に何かをしたいと思って取り組む子はそこまで多くないような気がする。

勉強にしろ部活にしろ、周りがやっているからなんとなく・・・なんて子が大多数を占めている(そんな中、必死になってスポーツに打ち込んでいる子を見ると「いいね~」と私は思っちゃうんです。たとえ周りの大人が「もっと勉強しろ」といっていたとしても)

そこで、有効なのが読書を通じて言葉・知識を増やしていくことなんです。

ここで言う「読書」は勉強系のものだけでなく、漫画・アニメを楽しむに書いた通り、小説・漫画・雑誌・絵本、場合によってはライトノベル・アニメだって有効です。

何に興味を持つかは人によって異なるので「面白い」と思えるものを活用してください。

では、具体的に読書を通じて得られることについて書いていく。

本を読むことで世界は広がる

本を読むことは、新しい言葉や考え方を手に入れる一番の方法です。

本には、自分ひとりでは出会えないような、たくさんの言葉や知識が詰まっています。

ニュートンの伝記

ニュートンの伝記を読むと、ニュートンがどのようにして数々の発見を成し遂げたのかがよくわかります。

有名なのは、木からリンゴが落ちるのを見て「重力」という概念にたどり着き、万有引力の法則を発見した話ですね。

ニュートンに限らず、伝記を通して偉人たちがどのようなことをしたのか、その行動や思考の道のりを追体験できます。

そうすることで、単に知識を得るだけでなく、自分の興味関心の幅を広げるヒントが得られるかもしれません。

SF小説

SF小説を読むことで

  • タイムパラドックス
  • ワームホール
  • 人工知能 (AI)
  • クローン技術/遺伝子操作
  • サイボーグ/ロボット化
  • ディストピア
  • 並行世界
  • パンデミック/ウイルス感染

といった言葉が使われることもあります。

SFが生み出す世界観に触れることで、解明されていない科学の謎や無限の可能性について、関心を持ち思考を巡らせるようになるかもしれません。

経済の本

経済小説を読めば、「インフレーション」や「デフレーション」といった言葉を知れば、それが自分たちの生活にどう影響するのかを理解できるようになります。

言葉がなければ、ニュースで「物価が上がった」と聞いても、ただの漠然とした現象としてしか捉えられません。

しかし、言葉を知ることで、その原因や将来の見通しについて考えることができるようになり、社会をより深く理解できるようになるかもしれません。

  • 下町ロケット
  • 海賊とよばれた男
  • おカネの教室 僕らがおかしなクラブで学んだ秘密
  • きみのお金は誰のため: ボスが教えてくれた「お金の謎」と「社会のしくみ」
  • ゾンビ化する社会 生きづらい時代をサバイブする

こういったものなら中高生でも十分読めるはずです。

心理学の本

心理学の本は興味を持ちやすいと思います。

信用に値する研究者が描いた本の中にも中学生くらいから読めるものが多くあります。

  • 夢を叶えるために脳はある 「私という現象」、高校生と脳を語り尽くす
  • 大人に言えない小さな悩みが少しだけ軽くなる本
  • 13歳からの「自分を変える」方法
  • 最新脳研究が教える 16歳からの勉強法
  • わたしが「わたし」を助けに行こう―自分を救う心理学―

小説では

  • 夜は短し歩けよ乙女
  • カラフル
  • 夢をかなえるゾウ

なんかは心理学の本と言ってもいいと思います。

読めば、「認知バイアス」や「投影」といった言葉を知り、自分自身の感情や他人の行動を客観的に見つめることができるようになります。

今まで「なぜか苦手だな」と感じていた人の行動が、実はある心理的傾向によるものだと分かれば、相手への見方が変わり、人間関係をより円滑に築くヒントを得られるかもしれません。

海外文学

海外文学を読めば、異なる国の文化や習慣を深く知ることができます。

  • オリバー・ツイスト(ディケンズ)
  • 戦争と平和(トルストイ)
  • 真夜中の子供たち(サルマン・ラシュディ)

オリバー・ツイストは19世紀ロンドンの貧困、児童労働、犯罪組織といった社会の暗部と、当時の人々の生活や階級社会の現実を

戦争と平和は19世紀ロシアの貴族社会の生活や文化、ナポレオン戦争下での人々の精神を

真夜中の子供たちはインド独立の歴史、ヒンドゥー教徒とイスラム教徒の対立、多民族社会の複雑な文化と歴史を

それぞれ学べるはずです。

本を通じて、自分とは全く違う文化や歴史を持つ人々の感情や考えに触れることで、世界に対する視野がぐっと広がります。

漫画・小説

漫画・小説の登場人物はさまざまな職業、背景、価値観を持っています。

自分が経験したことのない人生や、出会うことのない人々のできごとを追体験することで、共感力や多角的な視点を養うことができます

内容によっては年齢制限を設けるべきですが、次のようなものは学びにつなげやすいと思います。

  • チ。
  • Dr.STONE
  • コウノドリ
  • ゴールデンカムイ
  • 闇金ウシジマくん
  • インベスターZ
  • ドラゴン桜
  • 進撃の巨人
  • ブルーピリオド
  • 宇宙兄弟
  • へうげもの
  • 寄生獣
  • バガボンド
  • ピアノの森
  • 響け!ユーフォニアム

本を読むことは、新しい言葉という「レンズ」を手に入れ、これまで見えなかった世界を鮮明に捉えることです。

本は、私たちの世界を広げてくれる最高のツールだと思いませんか?